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バーゼルⅢ:規制導入に伴う新たな混乱の予兆

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2010/09/13

Abstract


(このレポートは2010年9月14日に"Basel III: Hearing the Rumbles of the Next Regulatory Tsunami"というタイトルで英文で発表しましたが、日本語版を2010年11月15日に発行しました。)

新しい銀行自己資本規制案(バーゼルⅢ)をめぐる協議が進行中で、その詳しい内容が明らかになりつつあります。これを受け、金融機関は新規制案への対応措置にとどまらず、最善のリスク管理を盛り込んだ準備を早急に進めるべきでしょう。

金融危機後の改革の一環として複雑な規制の発令や施行が相次いでおり、現在協議中の案件が決定すれば、さらに多くの規制改正が行われる見通しです。バーゼルⅢとは、バーゼル委員会が信用危機で明らかになった欠陥や問題を解決し、金融システムの安定化を図るために行った決議に由来するものです。銀行システムをめぐっては多くの複雑かつ困難な改革が打ち出されており、バーゼルⅢもそのうちの1つにすぎないとはいえ、極めて重要な意味を持つといえるでしょう。

セレントの最新レポート「バーゼルⅢ:規制導入に伴う新たな混乱の予兆」は、新規制案をめぐって進行中の協議が銀行の取引、業務およびシステムに及ぼすとみられる当初の影響について分析しています。その内容は、金融機関およびサービスプロバイダーが今後の規制改正に向けた準備と対策を行う上で参考になるでしょう。

新規制案がそのまま施行された場合、自己資本比率の引き上げに伴い、企業や顧客に対する与信拡大コストは急増する可能性があります。流動性規制は、主に法人向け業務を行う金融機関の資金調達により焦点を当てるものとなるでしょう。さらに、店頭デリバティブ取引に必要な資本コストが膨らむため、健全なリスク管理の柔軟性が制限される可能性があります。

「バーゼルⅠおよびⅡの場合と同様、バーゼルⅢは今後10年間の銀行業界の動向に大きな変化をもたらすでしょう。この新規制はまだ始まったばかりですが、過去の一連の規制導入の経験を生かすことはできます。例えばバーゼルⅡの導入時には、対応の遅れと厳しい導入期限が相まって、業務メリットの実現やリスク管理手法のレベル向上という、バーゼルⅡの意図した広範な戦略目標は達成されないままとなってしまいました。規制導入のスピードとその成否は、初期段階の準備によるところが大きいのです」とセレントのリサーチディレクターでレポート執筆者のキュビラス・ディンは述べています

このレポートは1図と3表を含む20ページで構成されています。