中国のダイレクトバンキング:新たな銀行セクターの誕生
2015/01/05
フア・ジャン
Abstract
セレントは、中国のダイレクトバンキング市場には3千万人以上の潜在顧客が存在し、その数は2020年までに6千万人を上回ると予測します。また、リテールバンキング業界におけるダイレクトバンキングのマーケットシェアは2020年までに10%を超える見込みです。
中国では多数の銀行がダイレクトバンキングビジネスを展開していますが、そのビジネスモデルは様々です。例えば、中国民生銀行は完全なるダイレクトバンクとなることを目指してオンラインに専念したビジネスモデルを導入しており、低所得のリテール顧客や小規模・零細企業をターゲットとし、ロングテール戦略を掲げています。これに対し、北京銀行ではINGダイレクト(大手ネット専業銀行)の有する豊富な経験を活かしオンラインとオフラインを融合したビジネスモデルを採用しており、低コストでの預金獲得を戦略の中核目標として掲げています。
中国のダイレクトバンキング市場に見られる主なトレンドは以下の通りです。
- P2P レンディングサービスの発展
- ビッグデータテクノロジーの活用
- ダイレクトバンキング向けの商品の開発
- eコマース・プラットフォームの導入
「セレントは、中国のダイレクトバンキング市場でビジネスを展開する際に注力すべきポイントとして、①大手電子商取引(eコマース)企業との提携、②親銀行のリソースのフル活用、③他社との差別化、④オフラインチャネルのサービス拡充の4つを提言します」と、セレントのアジア金融サービスグループのアナリストでレポートを執筆したフア・ジャンは述べています。
このレポートでは、中国におけるダイレクトバンキング市場の全体像について解説するとともに同市場の規模、トレンド、ビジネスモデル、戦略について考察しています。
中国語版レポート もあります。