ブロックチェーン・キャピタルマーケッツ Part 2: Web3.0の世界とIPO2.0
2018/01/31
イニシャル・コイン・オファリング(ICO)は、新たなアセットクラスを用いた全く新しい資金調達方法です。エクイティキャピタルマーケッツ(ECM、株式資金調達)を手がけるプレーヤーは、この新たな事業環境にいち早く適応し、トークンの仕組みを利用したい顧客や業界のすぐ近くにいるようにしなければなりません。
Key research questions
- IPO 2.0を牽引する要因は何か?
- IPO 2.0の意味するところとは?
- ECMの世界でWeb 3.0が担う役割とは?
Abstract
ECMは、投資銀行ビジネスの中で非常に重要な分野です。
大型IPO案件のグローバルコーディネーターやブックランナーといった業務は、多投資銀行に多額の収益をもたらすものです。
しかし、規制とテクノロジーの進展は、業界に変化をもたらしはじめています。英国ではIPOのシンジケート団に属さないアナリストが脚光を浴びるようになりました。
そして、ECMのオリジネーションやディストリビューションに対してICOが与える影響は、計り知れないほど大きいものになります。
ECMバンカーと伝統的なセルサイドが直面するのは、以下の2点です。
- ダイレクトリスティング方式が、伝統的なIPOをリプレースしてしまうおそれがあること
- ICOが最新のテクノロジーにもとづいた全く新しい資金調達方法であること
この動きは、MiFID IIとアンバンドリングの導入とタイミングが重なっており、よってリサーチのカバレッジやディストリビューションのあり方を変えていくことは不可避と言えます。