キャッシュマネジメント・ソリューションを提供する米国ベンダーの2003年ランキング:生き残り戦争
Abstract
米国内のキャッシュマネジメント・ソリューション関連のIT投資額は向こう3年間で17億ドルを超えるとセレントは予想しています。
セレントの最新レポート 「キャッシュマネジメント・ソリューションを提供する米国ベンダーの2003年ランキング:生き残り戦争」では、銀行が法人顧客へのサービス向上を目指す中で、これまで米国のIT投資総額の3分の1程度を占めるにすぎなかった企業向け銀行業務プロジェクトに注目が高まりつつある状況について報告しています。
「このような変化の背景には、銀行にとって純利益の拡大が急務となっていること、IT関連プロジェクトから得られるROIをより綿密に検討する必要性が出てきたことなどがあると考えられます。キャッシュマネジメント関連のIT投資はコスト削減につながるだけでなく、クロス・セリングの機会拡大、手数料ベース収入の増加、貸し出し業務が停滞した際の代替運用先の確保といったより重要な効果をもたらします」 と、セレントの銀行アナリストで上記レポートを書いたクリスティン・ベリーは述べています。
レポートでは主要ベンダー10社のソリューションを比較し、これらを①特徴・機能性の高さ、②財務好況、③実装成功件数、④カスタマーサポートおよびサービスの実態、⑤有用性、の5つの基準に基づいてランク付けしています。また、ソリューションの採用状況、IT投資および市場の動向についても分析しています。下表1はランキングの概要をまとめたものです。
ランキング |
大・中規模金融機関 (総資産50億㌦以上)向け |
小規模金融機関 (資産50億㌦未満)向け |
1 | ポリッツアー・アンド・ ヘイニー |
バンクリンク |
2 | ファンドテック | デジタルインサイト |
3 | メタヴァンテ S1 |
ポリッツアー・アンド・ ヘイニー |
出典: セレント・コミュニケーションズ |
法人顧客向けサービスへの注目度が増し、この分野への投資が拡大するにつれ、キャッシュマネジメント・ソリューションを巡るベンダー間の競争が激化しています。大手銀行だけがキャッシュマネジメントサービスを提供していた時代は終わりを告げ、中小金融機関でも同様のサービスが求められるようになった今、ベンダーはこれら中小金融機関を新たな顧客ターゲットとして視野に入れ始めています。また、現在提供されているソリューションは従来の製品に比べて機能が向上しており、トレードファイナンスや貸し付けといった伝統的なキャッシュマネジメント業務以外にも対応したものが増えています。
「銀行業界ではこれまで遅れていた法人向け業務のシステム向上を進める動きが強まりつつあり、ベンダー間で生き残りをかけた熾烈な競争が展開される可能性が高いといえます。キャッシュマネジメント分野にはこれまでにない注目が集まり、今後数年にわたり活況を呈することは間違いないでしょう」と、ベリーは分析しています。
本レポートの調査対象となったベンダーは次の10社です: バンクリンク、ボトムライン・テクノロジーズ、 デジタル・インサイト、エンタープライズ・キャッシュ・マネジメント、ファイナンシャル・フュージョン、ファンドテック、マグネット・コミュニケーションズ、メタヴァンテ、ポリッツァー・アンド・ヘイニー、S1。