米クレジットユニオン再編の最新動向
Abstract
米国のクレジットユニオン業界では、ここ15年間で市場の寡占化が大幅に進みました。預かり資産残高が5億米ドル超のクレジットユニオンが預金シェアを拡大し、その数を増やす一方、同残高が5,000万~1億米ドルのクレジットユニオンは危機的な経営状況に陥っており、5,000万ドル未満のクレジットユニオンにいたっては急速に市場から撤退しています。
業界全体としては、米国のクレジットユニオンの数は、2000年末の10,316から2014年現在は6,491へと激減し、年平均成長率(CAGR)はマイナス3.25%に下落しています。預かり資産残高が5億ドル超のクレジットユニオンについては著しい成長が見られる一方、同残高が5,000万ドル未満のクレジットユニオンは市場から撤退しつつあります。とはいえ、中小クレジットユニオンならではの新たな役割が生まれる可能性もありそうです。
本レポートでは、米国クレジットユニオン業界の再編に影響を及ぼすトレンドについて検証しています。具体的には、クレジットユニオンを預かり資産規模で6つに分類して各セグメントのトレンドを明らかにし、預金残高の伸び、効率性比率を分析しています。そして最後に、業界に対するセレントの見解と、銀行の将来に向けた提言をまとめています。
大手金融機関と同じサービスで競争しても、中小規模のクレジットユニオンに勝ち目はありません。クレジットユニオンが生き残るためには、ローカルなニーズを満たす、ならではのニッチなサービスを提供していく必要があるでしょう。
「業界の再編にともない、存続できる金融機関の最小規模も変わっていくはずです。最新の金融サービスに対する顧客のニーズもそれに応えるための条件も、もはや無視することが出来ないほどに大きくなっています」と、本レポートの執筆者であるセレント・バンキンググループのアナリスト、スティーブン・グリーアは述べています。