プラットフォーム改革プロジェクトからの7つの教訓:英Phoenix Life社のケーススタディ
The Case of Phoenix Life UK
Abstract
英国のPhoenix Life社が5年7ヵ月にわたって実施したシステム改革プロジェクトを通じて、変動原価計算に基づく新たな外注型ビジネスモデルを開発した経緯を紹介します。同社は11の業務システムとそれらをサポートする約150のサテライトを廃止し、新たにメインフレームではない単一プラットフォームを導入しました。このプロジェクトでは、英国内で展開している約1,000種類の生命保険商品の全てを対象に、370万件の保険契約をTCS BaNCS上に移行したほか、520万件をアーカイブに保管することに成功しました。
セレントの最新レポート「プラットフォーム改革プロジェクトからの7つの教訓:英Phoenix Life社のケーススタディ」は、国内クローズドファンドのTCS Diligenta社への運用委託、プロジェクトの主な成果、得られた重要な教訓など、その概要を紹介しています。Phoenixグループは主に英国内で事業を展開するほか、アイルランドにも小規模な事業基盤を持ち、生命保険・年金のクローズド・ファンドの取得および運営を専門に手がけており、650万人を超える保険契約者の資産保護と退職後の財産管理をサポートし、その預かり資産は約721億ポンド(約8.9兆円)に達しています(2011年12月31日現在)。
当プロジェクトから得た7つの教訓は:
- 常にリーダーシップを維持する
- 最初の段階からパートナーと目的を確認し共有する
- スタートでのつまづきをすぐに察知し、思い切って早めに対応する
- ソースシステムのデータの質の低さや、再構築すべき書類の量を過小評価しない
- 特に保険数理部門では、障害を予測する
- システムコードの知的所有権は引き続きソースシステムのオーナーが有することから、ターゲットプラットフォーム上で商品を再構築する際、リバースエンジニアリングが必要になることを想定する。
- より効率的な業務運営から得られる長期的な利益をゴールに据え、目先の利益を優先した計画による過去の失敗を繰り返さない
「ここ数年、英国の生命保険・年金業界は、複雑な作業を伴うクローズドファンドの移管に十分に対応できないとの懸念から、払い出し期限が来るまで自社のレガシーシステムに残してきました。今回の刷新プロジェクトは、モダンプラットフォームへの大規模な移行を成功させることにより、システム老朽化リスクを低減させつつ、効率的で低コストの運営という成果を挙げることできることを実証しました」とセレント保険グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジェイミー・マクレガーは述べています。
レポートでは変換プロジェクトの概要、そこから得られた教訓、主な成果を紹介するとともに、Phoenix Life社とDiligenta社の双方が目指す次の段階について論じています。
注)ポンドから日本円への換算レートは、2012年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。