2015年 セレント・モデルバンク・オブ・ザ・イヤー:Fidor Bank【抄訳版】
Abstract
(英文レポート"Fidor: Celent Model Bank of the Year 2015 "の重要部分を抽出し翻訳しました。)
2015年のモデルバンク・オブ・ザ・イヤーにFidor Bankを選出しました。
今年で8回目となるセレントのモデルバンク調査は、バンキングにおけるテクノロジーの有効利用に焦点を当て、毎年、多数の応募プロジェクトの中から優れた事例をケーススタディとして紹介し、中でも最もイノベーティブで優れた取り組みを表彰しています。
今年のモデルバンク・オブ・ザ・イヤーとしてドイツのFidor Bankを選出しました。同行はダイレクトバンキングを手掛ける民間銀行で、2010年に設立されたドイツの新興の銀行です。同行はFidorグループの中核企業で、同グループ傘下にはFidor TecSとFidor Payment Servicesがあります。
モデルバンクアワードによって、セレントは以下の3つに対する答えを探索します。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 銀行のあらゆる業務プロセスを最新のテクノロジーで最適化したら、どうなるか? |
2 |
銀行ITプロジェクトのベストプラクティスとその成果は? |
3 | 受賞プロジェクトから何を学べるか? |
ここ数年の間にSimple、Moven、GoBankといった複数の革新的なスタートアップ企業がリテールバンキングに進出しました。これらは顧客重視の姿勢を強く前面に出し、充実したカスタマーエクスペリエンスを提供しているにもかかわらず、いまだ幅広い顧客層を獲得するには至っていません。こうしたスタートアップ銀行は、そのカスタマーエクスペリエンスに注目が集まってはいますが、銀行免許を取得していないため、基本的にそのサービスの内容は、必要なインフラと規制面の専門ノウハウを持つ既存の金融機関に依存せざるを得ません。従来型のインフラを使って非従来型のサービスを提供しなければならず、イノベーションの妨げとなっているのが実情です。
Fidor Bankはドイツで銀行免許を取得している数少ないスタートアップ銀行の1つであり、従来型のバンキングを一から見直すことができる立場にありました。ゼロからスタートした同行は、全てのインフラを自前で構築することにより、幅広い金融商品およびサービスを組み入れた、イノベーティブで他とは違うカスタマーエクスペリエンスの提供を目指しています。
同行は金融サービスのイノベーションを推進するにあたって、「開放性」と「コミュニティ」という2つの原則を掲げています。「開放性」とは柔軟性と機敏性を示し、それによって幅広いパートナーおよび機能から成るエコシステムを構築できるようになり、APIを使って独自のアプリケーションの開発も可能になります。「コミュニティ」とはユーザーを結び付け、銀行と顧客、さらには顧客と顧客のつながりを強化するものです。
「Fidorのような銀行が一歩先を進むことで、ノンバンクだけでなく、銀行免許を持つ金融機関であっても、カスタマーエクスペリエンスや新しいコミュニティについて、先進的でありうるのだ、と既存の金融機関も認識せざるを得なくなるでしょう」とセレント銀行グループのシニアバイスプレジデントでレポートの共著者であるダン・ラティモアは述べています。
「Fidor Bankは、まっさらな状態から銀行業務をスタートさせるという恵まれた立場にありました。しかし同行の事例は、地域や規模にかかわらず、その他の銀行に多くの教訓を示しています」とアナリストでレポートを共同執筆したスティーブン・グリーアは指摘しています。
本レポートは30p、5表と16図で構成されています。