2017年 金融業界のイノベーション調査:リーダーの出現【抄訳版】
Key research questions
- 2017年、金融業界のイノベーションの現状は?
- 前回の調査以降、目立ったトレンドは見られるか?
- データから読み取るイノベーションのベストプラクティスとは?
Abstract
セレントが最初に金融業界のイノベーションに関する調査を行った2013年以降、イノベーションのペースは加速し続けています。銀行、保険会社、証券会社に籍を置く金融のプロ194人を対象に行った今回の調査では、イノベーションが金融機関にプラスの効果をもたらし始めていることがわかりました。
調査では「顧客のニーズに応えるためにイノベーションは不可欠である」との回答が目立ちましたが、事業戦略にはさほどの切迫感は反映されていません。また、「金融業界のイノベーションは他の業界には見劣りがするものの、自社の取り組みは競合他社に後れを取っていない」とする回答が多く見られました。
過去の調査に比べると、今回はイノベーションのもたらす成果に対する満足度が上昇し、イノベーションプロジェクトに対する最高経営幹部の支援が拡大したとする回答が目立っています。今回初めて、事業戦略を執行する上でイノベーションは「不可欠」であると回答した人が過半数を越えました。イノベーションを実践するための最善のアプローチは、これを企業カルチャーの問題として捉え、組織構造、リーダーシップへの期待、インセンティブおよび業務プロセスの変革が欠かせないと認識することでしょう。
「イノベーションの主な阻害要因には①日常業務に追われていること②既存の業務プロセスの変更が難しいこと―が挙げられ、過去の調査と同じ結果でした。こうした障害を乗り越えるためにはテクノロジーへの投資に加え、強いリーダーシップが必要です。」
「回答者は、最高経営幹部をイノベーションの強力な推進者と位置づけています。過去の調査と違って、組織のリーダーほぼ全員が、変化の推進者と捉えられています」と、保険プラクティスのシニア・アナリスト、マイケル・フィッツジェラルドは述べています。