中央銀行発行の仮想通貨: 中銀はDLTをどう捉えているか?
2016/10/10
Abstract
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 中央銀行発行の仮想通貨について中銀はどのように捉えているか? |
2 |
イングランド銀行が先に発表した「中銀の仮想通貨」に関するレポートは何を示唆するか? |
3 | 将来的に不換通貨はどのように進化するとみられるか? |
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は2016年9月28日、年2回の下院金融委員会の公聴会でFRBによる金融システムの監督および規制について証言しました。その中で同議長は、ブロックチェーンは決済システムに大きな影響を及ぼす可能性があり、こうしたテクノロジーを使ったイノベーションは社会にとって極めて有用かつ有益となる可能性があると述べています。
これは、中銀がブロックチェーンおよび分散型帳簿テクノロジー(DLT )への関心を強めていることを示す新たな証左といえますが、これらのテクノロジーが中銀や商業銀行の役割をどのように変える可能性があるかについてはあまり理解されていません。
「中銀が仮想通貨を発行することで、自らが設定した主要目標の達成に向けて金融システムを再構築する機会が生まれます。そのメリットとして、新たな決済システム、マクロ経済変数の詳細なデータ、経済刺激策の選択肢の拡大、より堅実な規制の策定などが挙げられます。オーソドックスではない金融政策が多く施行され、それが銀行や資本市場に影響を及ぼしているだけに、DLTが金融システムに及ぼす可能性のある影響を把握する上で、その基盤となる中銀の見解を理解することが不可欠といえるでしょう」と証券プラクティスのシニア・アナリスト、ジョン・ドゥワイヤーは述べています。
本レポートは分散型帳簿テクノロジーに関するシリーズ(全3編)の第2弾です。第3弾では不換通貨、Micro Gold、暗号通貨について、決済システム、価値保存手段、通貨自体の今後の進化という観点から比較します。