メキシコの資本市場におけるテクノロジードライバーと最新動向
Abstract
メキシコは中南米地域において主要な資本市場のひとつです。同市場は域内でも比較的大きな経済規模を誇り、地理的にも米国やカナダに近接していることから中南米市場のなかでもユニークな立ち位置にあります。さらに、主要なグローバル金融機関の一部からの継続的な投資の恩恵も受けています。
メキシコの資本市場は規制が厳しく、外資系の金融機関やベンダーは規制の動向や変化に目を光らせておく必要があります。当局によるリスク管理規制の強化に対応するために、国内の中小規模証券会社やバイサイドの金融機関も、高機能の取引プラットフォームや高度なリスク管理システムを必要としています。
本レポートではメキシコの資本市場における最近の進化、つまり、取引の電子化及び集中化が進む現状やポストトレード処理環境について取り上げています。そこでは、年金基金市場やOTCデリバティブ市場における規制改革の影響を受けて、より高度なテクノロジーの導入も積極的に進められています。
市場全体のIT投資金額は2013年の8億6,900万米ドルから2017年には11億米ドルへと増加し、年平均伸び率(CAGR)は6.7%になる見通しです。主要な成長要因としてはクロスアセット取引に対応したプラットフォームの普及、メキシコ市場の南北アメリカ市場へのさらなる統合、レガシーシステムの合理化、金融市場におけるSaaS(サービスとしてのソフトウェア) の役割拡大、ビッグデータの活用やアナリティクス等が挙げられます。
「メキシコは中南米地域において重要な資本市場のひとつです。同市場では外資系金融機関やベンダーを惹き付ける市場の確立と競争力の向上を目指して市場インフラの規制強化が進められており、その努力が成果となってあらわれています」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
このレポートは「中南米の資本市場におけるビジネスチャンスの考察」シリーズの第3弾です。第1弾では域内の主要資本市場であるブラジル、メキシコ、コロンビアおよびチリについて紹介し、市場および社会経済指標に基づいてこれらを比較し、各市場における証券会社および資産運用会社の分布状況、海外および国内ベンダーの勢力図を紹介しました。第2弾では、ブラジルの資本市場を取り上げ、本第3弾はメキシコの資本市場におけるセルサイド/バイサイドの主要プレーヤーの概要、市場のトレンドや特徴、成長要因や予想されるIT投資額を掲載しています。