Reg BI:テクノロジーソリューションのランドスケープをマッピング
Abstract
2020年6月30日に発効するReg BI(最善の利益規制)は、米国のブローカー・ディーラーに対して、証券や投資戦略に関する推奨を行う際に最善利益基準の遵守を義務付けるものである。「推奨」という用語はいまだ定義されていないが、規制当局はこれまで、パーソナライズされた投資アドバイスを提供するコミュニケーションと解釈してきた。
Reg BIにはブローカー固有の義務も含まれる。中でも最も注目すべき部分は、推奨を行う際に手数料・費用の問題に留意し、合理的に入手可能なすべての代替商品を検討することを義務付ける注意義務条項である。これについては、金融商品をバランスよく品揃えしておくことで、要件に合理的に対応することができる。商品の評価は、後付けではなく推奨する時点で行う必要があるため、ポジションレベルでのモニタリングと調査を実施するためのツールも用意しておく必要がある。
Reg BIにおいては包括的な推奨が許されていないことから、すべてのソリューションに顧客の個々の利益を反映させる必要がある。このように注意義務の負担が増すことで、顧客の退職目標といったより捉えにくいダイナミックな要素に、複雑な費用計算を織り込む必要が生じることになる。ブローカー・ディーラーは、顧客、市場および取引のタイプといった調達すべき情報と、こうした情報をどのように処理して販売部門に展開するのかについて、吟味する必要性に迫られている。
幸いなことに、これらの多様なニーズに対応するためにベンダーが存在するが、残念ながら、ワンストップショップにはなっていない。1社のベンダーではReg BIの運用上および機能上の要件を満たすことができず、またベンダーのツールを社内のプロセスに合わせることが困難なことから、ブローカー・ディーラーが適切なソリューションを特定するのは労力を要する作業になっている。これらの課題は、Reg BI要件についてのベースラインを満たす段階(Day 1)から運用段階(Day 2)へと対応する段階がシフトしていくにつれて、拡大していくことになる。
(詳しい情報は、セレント北川俊来TKitagawa@celent.comまでお問合せください)