ダイレクト・バンキングに明るい兆し: 米国でも店舗展開とは別の潮流として注目される
Abstract
米国の大手ダイレクト・バンクは現在約50万~100万人の顧客を抱えていますが、セレントの予測では2010年までに顧客数は500~1,000万人規模に膨らむ見通しです。小切手の利用減少が、ダイレクト・バンキングの劇的な復活を後押しする要因と思われます。
セレントの最新レポートでは、他の先進諸国と比べ米国で純粋なダイレクト・バンクがあまり根付いてこなかった理由について検証しています。調査の結果、預金者が自分の口座へ小切手を入金する際に発生するプロセスは、未だ自動化が進んでおらず、このことが、ダイレクト・バンクの普及を遅らせてきた元凶となっていることが明らかになりました。小切手の減少とともに、今後5~7年間でダイレクト・バンキングを巡る市場が目覚しい発展を遂げると予想されます。
「これまでダイレクト・バンキングを手がける企業は、決済取引の自動化および電子化の遅れが壁となって、苦難を強いられてきました。」と、セレントのシニア・アナリストで本レポートを執筆したグウェン・べザーはコメントしています。米国とは対照的に、カナダや西ヨーロッパ諸国ではダイレクト・バンクが急速に勢力を拡大してきました。これらの国々では、最大手のダイレクト・バンクの顧客数が全人口の1%を超えているのに対し、米国の場合わずか0.2%にとどまっています。米国では小切手への依存度が激減しつつあり、特に膨大な窓口業務を発生させる給与支払いや個人用小切手が急速に陰を潜めつつあることから、今後ダイレクト・バンキングが飛躍的に拡大するとみられます。米国でのダイレクト・バンキングの普及度は最終的に英国、ドイツ、カナダに肩を並べる水準に達するでしょう。べザーは、「米国のトップ銀行は、これまでダイレクト・バンキングの成長性は省みず、マルチ・チャネル展開ばかりに注力してきましたが、戦略の見直し時期にきているといえるでしょう」と警告しています。
本レポートは27のグラフと1つの図表を含む31ページで構成されています。
本レポートは以下の金融機関について言及しています:オールステート・バンク、バンクAGF、アクサ・バンク、ネットバンク、アメリカン・エクスプレス・バンク、イー・トレード・バンク、ステート・ファーム・バンク、INGダイレクト、ファースト・ダイレクト、エントリウム、アミカス、セインズベリ・バンク、スパーベレグ、テスコ・パーソナル・ファイナンス、エッグ、インテリジェント・ファイナンス。