2007年保険業界のWebサービスおよびSOA: そのビジネス価値をいかに実現し伝達するか
Abstract
(このレポートは2007年3月20日に"Web Services and SOA in Insurance 2007: Realizing and Communicating the Business Value"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2007年11月13日に発行しました。)
SOA関連投資を行った大手保険会社では、統合コストの10~49%削減という成果が上がっています。
セレントが20社以上の保険会社を対象に行った調査データや取材によると、保険会社は、Webサービスおよびサービス・オリエンテッド・アーキテクチャ(SOA)を使って、システム統合コストの削減や新規契約/引受け/保険金請求システムのより効率的な開発に取り組んでいることがわかりました。
「現在、応用できるサービスが限定されているような分野においても、WebサービスとSOAはビジネス価値を生み出しています。ところが残念なことに現状では、本来はプロセス主導であるべきアーキテクチャが持つ潜在的な汎用性ばかりが過大に喧伝され、こうした限定的な導入における短期間での有用性が見過ごされています」とセレント保険プラクティスのマネージング・ディレクターで本レポート執筆者のマシュー・ジョセフォウィッツは述べています。
「このような喧伝は取るに足らないものです。Webサービス/SOAは単なる「テクノロジー基盤(インフラ)」の問題かもしれませんが、だからといって重要性が低い訳ではありません。いくつかのサービスに応用するだけでも、既に限界に達している保険会社のIT資源の拡大に大きく寄与するはずです。それはSOAに当たらないとの疑問を呈する向きもあるかもしれませんが、その議論は的はずれといえるでしょう。」
本レポートでは、過半数の大手保険会社と多くの中堅保険会社が、あらゆる商品で、また保険契約者のライフサイクルのあらゆる場面で、ビジネス価値を創出するためにWebサービス/ SOAを導入している現状を指摘しています。また、保険会社に今後1年半の見通しを聞いたところ、Webサービス/SOA関連投資が社内の統合コストの削減に大幅に寄与するとの見方が示されました。
「システム統合コストの削減は、市場の流れを変える鍵となり得ます。なぜならCIOは乏しい資源をより戦略的なアプリケーションの開発に振り向けることができるからです。大手保険会社の内部調査によると、Webサービス/SOAの導入が後続プロジェクトにおいて、統合コストの10~49%削減をもたらしたと報告されています。」
「残念なのは、ほとんどの保険会社がプロジェクトの価値を数値化する正式な手段を持っていないため、営業部門からの理解が得られていないことです。IT部門にとって、価値の数値化は目下の重要な課題です。」とジョセフォウィッツは指摘しています。
全27ページから成る本レポートは、IT部門がビジネス価値の数値化に着手するにあたって参考となる簡易モデルのほか、以下のような幅広いテーマの調査データを示した図表を15以上掲載しています。
- 現在の利用状況
- 営業部門全般においてのWebサービス/SOAの相対価値
- 営業部門で導入された最も価値の高い個別サービス
- 最も一般的なテクノロジープラットフォーム
セレントは、保険会社のIT部門に対して、初めは小規模でも構わないのでWebサービス/SOAをすぐに開始することを提言します。たとえその数は少なくとも、再利用可能なサービスを採用することで確実に業務上の成果を上げることができるからです。導入の際には、SOAベースの統合作業においてはベンダーの協力を得、また投資やコスト削減の内容を文書化して営業部門にその価値を明示することが重要です。