低レイテンシーシステムのコストと最適化【抄訳版】
Abstract
(このレポートは2014年2月に"Low Latency:Focus on Cost and Optimization" というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2014年6月23日に発行しました。)
バイサイドの金融機関の多くにとって、コスト管理は最大のテーマとなっています。この一年、どの金融機関も大幅なコスト削減圧力にさらされてきました。データ取り込みをダイレクトに行うのか、一元的に行うかの選択、メッセージ処理能力の拡大、レイテンシー(遅延時間)の縮小ためのネットワーク圧縮などについて、より慎重な判断が求められるようになっています。
セレントの最新レポート「低レイテンシーシステムのコストと最適化 」は、低レイテンシーという進化中の分野についての各金融機関の見解を調査し、それがフロントおよびミドルオフィスの取引業務にどのような影響を及ぼすかを検証しています。特に、リスク管理と取引活動をサポートするメッセージインフラに焦点を当てています。
今や幅広い金融機関が、レイテンシーが肝となるシステムを採用するようになっています。低レイテンシーが不可欠であるとの考え方は、必ずしも高頻度取引に限った話ではなく、アルゴリズム取引を利用する金融機関にも広がっています。
データ量の拡大も新たな課題となっています。バイサイドのトレーダーは、多様なデータソースを可能な限りリアルタイムに近い形で処理する必要があり、今やトレーディング戦略はかつてないほど大量のデータに基づいて策定されるため、トレーダーにとっては低レイテンシーのインフラによって柔軟性を向上させることが不可欠になっています。
金融機関が市場データをリアルタイムで取り込むために投入した資金は、2013年には約194億ドルに達したと推計され、今後2年間はさらに3~4%増加すると予想されます。
「バイサイドの金融機関にとって最大の関心事は同期化、レイテンシーの測定、モニタリング機能などです。 金融機関が選別すべきデータは増え続ける一方であり、データの時間的パターンを分析するためには正確な時間の刻印が不可欠となります」とセレント証券グループのアナリストでレポートを共同執筆したムラリダール・ダザールは述べています。
「業務部門ごとの縦割り組織となっているため、リスクデータだけを分けるのは難しいのが現状です。ミドルオフィスで常に理想的なレイテンシーを維持できるかどうかは、許容できるレイテンシーに敏感に対応できるサポート機能を備えているか否かにかかっています」とシニアアナリストでレポートの共同執筆者であるアンシュマン・ジャスワルは指摘しています。
レポートではまず、低レイテンシーのインフラに関する主なトレンドや動きを明らかにし、バイサイドの観点からそれらを分析しています。そして、この分野のテクノロジーのエコシステムの概要を示し、低レイテンシーの取引システムを提供するテクノロジープロバイダーを紹介しています。