南アフリカの保険業界: 市場とIT動向の概要
Abstract
南アフリカ保険市場では、2004年、270億米ドル(約3兆2,000億円)の正味保険料収入を記録しました。この後5年間でさらに5%程度拡大する状況が整っています。また、セレントの予測では、同業界におけるIT投資額も2008年までに17億8,000万米ドル(約2,100億円)に達する見通しです。
セレントの最新レポート「南アフリカの保険業界:市場とIT動向の概要」は、南アフリカ共和国が直面する特異な社会的・政治的課題を浮き彫りにし、それに関連したITのビジネス機会についてその概要を示しています。
1994年の民主化以降、南アフリカは大規模な政治的、社会的、経済的変化を経験してきました。同国の経済は成長基調にあり、外国からの投資もさらにひきつきています。この投資意欲は、2005年5月、英国大手銀行バークレイズによる国内最大のリテール銀行アブサの発行済み株式過半数取得をきっかけに高まっています。
南アフリカ国内で続くこの変化は、保険市場にも影響を及ぼしています。「金融セクターによる(自主的な)憲章、規制強化、BEE(黒人への経済権限付与)、販売チャネルの変化といった国内の動向の進展は、影響力を持ち、次世代の保険会社の形成を促進するでしょう」とセレントのシニアアナリストで当レポートの執筆者であるキャサリン・シュミットは述べています。
セレントは、南アフリカの新たな経済・政治環境に起因する保険会社が抱える課題と、それがIT戦略に及ぼす影響について、その概要を示しています。これまで同国の保険会社におけるIT投資は業績低迷に連動して、低水準にありましたが、状況は変わりつつあります。今後3年間を通して保険会社はIT投資の拡大を進めるでしょう。セレントは、2006年には15億米ドル(約1,700億円)がIT投資に向けられると予測しています。保険各社はシステム統合やコアシステムのリプレースに向けて投資するでしょう。また、システムのカスタム開発から市販アプリケーションの購入へのシフトが広がりつつあります。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2005年11月30日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。