エンティティ分析とネットワーク分析によるトランザクションモニタリングのニューパラダイム
Abstract
「Regtech Solution Brief」とは、セレントが特に注目するベンダーの概要を紹介することにより、Regtechソリューション/ 戦略に関する最新情報をセレントリサーチサービスの顧客にタイムリーに提供することを目的とした新しいレポートシリーズである。
レグテックスタートアップであるQuantexaは、トランザクションモニタリングにおけるアラート生成を目的とした新たなソリューション「Contextual Monitoring」を開発したが、それはトランザクションモニタリングの方法にパラダイムシフトをもたらしている。同社が主に提案しているのは、エンティティ分析とネットワーク分析の機能を基盤とする「Quantexa platform」である。Quantexaは、KYC (顧客確認) やAML (マネーロンダリング防止) をはじめとする金融犯罪コンプライアンスの複雑な事例調査のために開発した最初のユースケースにより、その本気度を示した。Quantexaは現在、エンティティ分析およびネットワーク分析と同じ原理とフレームワークを利用して、トランザクションモニタリングにおけるアラート生成に適用している。
トランザクションモニタリングにおけるQuantexaのアプローチの主な特徴は、取引額や取引量のみを分析する従来のアプローチとは大きく異なり、関係性の分析に重点を置いていることである。そのためQuantexaのアプローチは、単なる取引データではなく、エンティティ(個人、取引先、法人、ウォッチリスト、法人登記簿等)のネットワークにおいて疑わしいアクティビティを検出するように設計されている。
Quantexaのアプローチは、より多くのデータを使用して顧客とその関係者の全体像を捉え、更に関係性に焦点を当ててコンテキスト分析を実行するという手法を取っているため、トランザクションモニタリングの強力なアプローチとなり得る。Quantexaは、一部の大手銀行のキャピタルマーケッツ、貿易金融、およびコルレスコルレスバンキングの各分野で実施した早期導入と試験運用において、有望な結果を報告している。同社は最近、リテールバンキングのユースケースを開発するために、いくつかの試験運用を開始し、2022年にソリューションの本格的開発を計画している。この分野では、競争力のあるベンダーがひしめき合い競争が激しく、更に複雑なテクノロジーと規制面の考慮事項を理由に、金融機関が大規模で革新的な取り組みに消極的なため、この分野における市場シェアの獲得は困難な課題であろう。