2016年 セレントモデルバンク・オブ・ザ・イヤー:イースタンバンク【抄訳版】
Abstract
(英文レポート"Eastern Bank: Celent Model Bank of the Year 2016"の重要部分を抽出し翻訳しました。)
イースタンバンクが、2016年のモデルバンク・オブ・ザ・イヤーに選出されました。
今年で9回目となるセレントのモデルバンク調査は、バンキングにおけるテクノロジーの有効利用に焦点を当て、そのベストプラクティスといえるプロジェクトをケーススタディとして紹介し、その中からセレントのモデルバンク・オブ・ザ・イヤーを選定しています。
今年のモデルバンク・オブ・ザ・イヤーにはイースタンバンク(マサチューセッツ州ボストン)が選ばれました。同行は米国で最も古く、最大の規模を誇るミューチュアルバンクです。2014年にイノベーションセンターとして「Eastern Labs」を立ち上げ、収益の1%を投じてイノベーションを推進し、わずか1年2ヵ月で、業界初の中小企業向け融資を商品化しました。最小限でも意味のある商品(Minimum Viable Product)を提供しよう、という視点に立って開発したものです。
レポートでは、イースタンバンクの取り組みを詳細に紹介しつつ、次の3つの質問の答えを明らかにしています。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 中規模銀行はイノベーションを効果的に行う必要がある。なぜか? |
2 |
ユニークかつ有意義な方法でイノベーションを行うには? |
3 | イースタンバンクは、既存の与信基準を維持したまま、如何にして中小企業向け融資を飛躍的に伸ばしたのか? |
イースタンバンクは2015年の年次報告書で新たな融資サービスについて、「我々が最近立ち上げたイノベーションセンター『Eastern Labs』は最初の商品となる融資サービスを始めました。中小企業を対象に、融資申請から資金の支払いまでわずか5分で完了し(すべてデジタル化)最大10万ドルまで借り入れ可能です。米国内の既存のどのサービスより簡単、迅速、透明性の高い融資経験を提供しています」と紹介しています。
同行の功績は非常に大きいと言えるでしょう。社内リソースを活用して全く新しい融資のしくみを一から構築し、ディスラプティブな力を持つフィンテック企業にも引けを取らない革新的な成果を示したからです。しかも、新たなリスクは全く発生していません。融資担当者は紙の申請書に基づくデータ入力に費やす時間を、顧客とのやり取りに割けるようになりました。ウォールストリート・ジャーナル紙が「コーヒーブレイク・ローン」と呼んだこのサービスは、顧客の資金調達を容易にするものです。
同行のケースは、規模の大小を問わず、銀行が生き残るために不可欠なイノベーションの戦略/戦術策における貴重なヒントを示しています。中でも重要なのは、バンキングのあり方を根本的に見直すきっかけを得られることでしょう。