Exchanges 2.0:次世代の取引所を担うテクノロジーインフラ
Abstract
(このレポートは2011年8月17日に"Exchanges 2.0: The Evolution of Exchange Technology in Cash Markets"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2011年11月8日に発行しました。)
主要取引所にとって、テクノロジーはもはや単なる実現手段ではなく、中核機能となっています。2015年にかけて、取引所の運営業者にとってはテクノロジーインフラの持つ戦略的な意義がますます重要になるとみられます。
セレントの最新レポート「Exchanges 2.0:次世代の取引所を担うテクノロジーインフラ」は、主要取引所グループが提供する新たなプラットフォームや最先端のテクノロジーサービスを紹介しています。また、取引所の運営業者がどうすれば取引インフラの投資リターンを最適化できるかを考察しています。
取引所グループは今や世界の金融機関向けシステム販売業者の中でも最大手に名を連ねるようになり、いくつかのグループは自社開発した取引インフラの商品化を手がける独立部門を設立しています。さらに、より広範な業務基盤のサポートにまで手を広げるグループもあり、取引処理の全過程にわたる持続的なシステム開発および投資につながっています。
テクノロジーは巨大なビジネスです。最大手の取引所運営業者の場合、2011年のIT事業の売上高は18億ドル(約1401億円)に達しています。これは、欧米の主な取引所グループの売上高の20%に相当します。今後、同事業の社内および社外向け売上高は年率20%のペースで拡大し、2015年には38億ドル(約2958億円)となり、売上高全体の33%に達すると予測されます。
出典:セレントによる推計、各取引所
「取引所運営業者にとって勝ち組と負け組の差を決定づける最終的な要因は、市場参加者全体のニーズに対応しつつ、HFT(高頻度取引)を行う金融機関の求めるシステムを開発・導入できるかどうかにかかっているでしょう」と、セレントのキャピタルマーケットグループのリサーチディレクターでレポートの共同執筆者であるデビッド・イーストホープは述べています。
「取引所がこの分野で成功を収めるには、自社の取引プラットフォームを常に進化させ、最先端のテクノロジーサービスを提供することが不可欠です」と、レポートの共同執筆者でアナリストのムラリダール・ダザールは述べています。