バイサイド向け取引注文管理システム:ニーズへの対応
Abstract
ボラティリティは利ざやの縮小やコストの増加につながるため、取引注文管理システム(OMS)のユーザーはよりコストパフォーマンスの高いシステムを求めています。業界のビジネスおよび価格モデルは変化しており、ベンダーはより柔軟なアプローチでこれに対応しています。主要ベンダーが顧客基盤を拡大して成長を続けるなか、競争は厳しさを増しています。ここ数年企業買収が相次いだ結果、市場はコンパクトになっており、持続的なイノベーションがカギとなっています。
OMS市場は転換期を迎えています。金融危機の余波を克服するとともに、マルチアセット取引や高頻度取引に対応できる高度なシステムへのニーズにも対応する必要があります。バイサイドの金融機関は、資産クラスやニーズに応じたベスト・オブ・ブリードのソリューション構築が可能であることを十分認識していますが、新たなOMSを採用することなく、自社のニーズにほぼ対応可能で、既存の注文執行管理システム(EMS)への影響を最小限に抑えられるソリューションを構築しようとしています。その結果、主要OMSベンダーにとって市場を支配するのはさらに難しくなっています。セレントの最新レポート「バイサイド向け取引注文管理システム:ニーズへの対応」では、主なOMSベンダーが投入している製品を分析しています。
2009年にIT投資がやや減少し、業界にもその影響が広がったものの、投資額はその後回復に転じて11年から15年にかけては年率6%弱の伸びが見込まれています。伸び率は予想を下回る可能性もありますが、これは成熟市場である欧米での投資減速に伴い、大手金融機関からの需要が減ることによるものです。成熟市場における中小の新規顧客や新興市場の需要がOMS業界の新たな成長エンジンとなるまでには、まだしばらく時間がかかるでしょう。
「OMSベンダーは、低コストと高パフォーマンスという難しいニーズに対応しなければなりません。マルチアセット対応機能は新たな標準であり、リスクの拡大と規制の強化に伴いコンプライアンス関連のモジュールも不可欠となっています」と、セレントのシニアアナリストでレポート執筆者のアンシュマン・ジャスワルは述べています。
レポートでは業界を取り巻く最新動向と直面する課題に焦点を当て、市場参加者がこれらの課題にどう対応しているかを分析しています。また、主なOMSの機能の一部を比較し、製品の特性も紹介しています。