米国におけるEMV仕様への移行:一気に加速へ
Abstract
米国では、EMV仕様への移行がようやく進展する兆しが見え始めています。セレントの最新レポートは昨年のレポートで指摘した移行を阻む主な要因について振り返り、ここ1年間でどのような変化があったのか検証しています。
昨年11月発行の「米国におけるEMV仕様への移行:進捗状況」レポートに記したとおり、実際のところ、カードの決済ネットワークや業界団体(「Smart Card Alliance (スマート・カード・アライアンス)」など)の前向きな取り組みにもかかわらず、EMV仕様への移行は一向に進んでいませんでした。1年後の今では状況が一変し、あらゆる分野で大きな進展が見られます。
本レポートは、この1年間でカード業界がEMV仕様の採用を阻む障壁をいかに取り除いてきたかを明らかにしています。また、EMVへの移行戦略を検討しているセレントの顧客から受けた質問をまとめたFAQの項を設けています。最後に、プロフィール管理およびスクリプト、暗証番号の管理、マルチアプリケーション・カードといった最先端のEMV機能に関する質問の一部も紹介しています。
「米国ではEMV行き列車がようやく駅を出発し、加速し始めたところです。列車に乗り遅れてしまったカード発行会社は、今こそ行動を起こすべきでしょう」とセレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジルビナ・バレイシスは述べています。
昨年のレポートで予想したように、カード発行会社の多くは、まずは基本的なEMV機能に絞った簡単なEMVカードを発行することに注力しています。こうした「ウォーミングアップ」的な戦略をとることは大部分のカード会社にとって賢明であり、特に顧客基盤が比較的小さく、その管理を外部の処理業者に依存しているカード会社にとってはそういえるでしょう。一方、さらに先を見据えてより先進的なEMV機能(追加データの活用を可能にする認証エンジンのアップデート機能、ライフサイクルを通じたカード管理を強化するためのスクリプト実装など)の採用を検討しているカード会社は、EMV関連投資を通じてより大きな利益を上げる可能性が高いでしょう。