金融市場における中国と台湾の関係
2010/08/24
フア・ジャン
Abstract
中国本土と台湾の金融市場は規模に大きな差がありますが、その結びつきはますます深まっています。両国政府が金融緩和または引き締めのいずれの政策をとるかによって、投資家に多大な投資機会あるいはリスクをもたらすことになるでしょう。
台湾企業による中国本土への投資額は2009年に495億ドル(約4.29兆円)に達しました。これらの企業の中国における必要資本は500億ドル(約4.34兆円)を超えると推計されます。セレントの最新レポート「中国と台湾の金融市場の関係」は、両国間の投資および取引や両国の関係に影響を及ぼす規制について分析しています。
台湾市場は小規模で競争が厳しいのに対し、中国市場は競争こそさほど激しくないものの、金融当局のより厳しい監督下に置かれています。こうした環境を背景に、台湾の金融業界は積極的に中国本土市場への進出を図っていますが、当局の規制のため、なかなか進展していません。現在、中国本土市場に上場している台湾企業は900社(台湾企業全体の73%)を超えています。
出典:セレント
「台湾の銀行業界では、中国本土に進出している台湾企業向け融資が新規融資全体の20%以上、正味受取利息の60%を占めています。台湾の金融機関が中国での事業開拓に成功すれば、大きな利益を上げる可能性があるでしょう」とセレントのアジアフィナンシャルサービスグループのアナリストでレポートを執筆したフア・ジャンは述べています。
このレポートは6図と2表を含む22ページで構成されています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2010年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。