ヘッジファンド管理業務の動向
Abstract
ヘッジファンド業界では業務のアウトソーシング化がますます進み、ヘッジファンド管理業務ビジネスが活況を呈しています。
ヘッジファンド管理市場は、大きな転換期を迎えています。セレントは最新レポート「ヘッジファンド管理業務の動向」で、そのサービスの内容が従来のファンド管理業務(ファンド会計、基準価格(NAV : Net Asset Value)の算出、業務代理サービス、IRなど)から、総合的なビジネス・プロセス・アウトソーシングへと拡大していることを指摘しています。
世界中の約70のヘッジファンド管理業者にとっては、大きな成長余地があるといえるでしょう。このような管理業者のトップ層は、直接投資とファンドオブファンズを合わせた運用資産総額で見ると、CITCO、HSBC Alternative Fund Services、Fortis Fund Servicesです。
ヘッジファンドの2桁の成長率と世界的な需要の広がりは、市場を驚嘆させ続けています。結果として、ヘッジファンド管理業者には常に対応しきれないほど多くのビジネス・チャンスがある状況です。Hedge Fund ResearchとEurekaHedgeの調査データに基づいて、セレントが行った分析では、世界のヘッジファンドの資産総額は現在の約1兆3,000億米ドル(約149兆円)から2009年には2兆3,800億米ドル(約273兆円)へと年平均17%増のペースで拡大する見通しです。中でも欧州ヘッジファンドの資産総額の拡大が著しく、世界中のヘッジファンド市場に占める割合では27%から35%へ、資産残高では3,970億米ドル(約45兆6,000億円)から8,350億米ドル(約95兆9,000億円)へと増加するでしょう。また、アジアのヘッジファンドが世界のヘッジファンド資産総額に占める割合は5%弱(740億米ドル:約8兆5,000億円)から9%(2,150億米ドル:約24兆7,000億円)に拡大する見通しです。ファンド管理業者にとっては、万事が追い風となっています。
ヘッジファンド管理業界には過熱感が感じられますが、現時点では競争激化による価格低下はありません。「競争の最前線には資金力のある大手業者が集まっているので、価格低下が見られる方が自然かもしれません。しかし、必ずしもそうなるとは限りません」と述べるのはセレントのシニアアナリストでレポート執筆者のデニース・バレンタインです。「プライシングマトリクスの多くが、オルタナティブ商品と同様に複雑化しています。ヘッジファンド管理業務において生じる様々な付帯サービスによって、プライシングマトリクスの多様化が進んでいるからです。」と指摘しています。
本レポートでは、ヘッジファンド業界におけるアウトソーシングの現状と、その現状がヘッジファンド管理業務の進化に及ぼす影響について検討しています。また、ヘッジファンド管理業者のランキング、ヘッジファンドとファンド管理市場に関する詳細なデータも掲載しています。
本レポートは12図と4表を含む全36ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2006年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。