中国証券業界のIT 投資動向
Abstract
(このレポートは2009年6月23日に中国語、8月12日に"IT Spending Trends in the Chinese Securities Industry"というタイトルで英語で発表しましたが、日本語版を10月28日に発行しました。)
中国・上海証券取引所の時価総額は2008年12月時点で1.4兆米ドル(約134兆円)で、世界第6位、アジアでは第2位の規模となりました。しかし、金融危機の影響により2009年から2012年の間のIT投資における成長率は低水準にとどまるでしょう。
セレントの最新レポート「中国証券業界のIT投資動向」では中国の証券業界におけるIT投資について分析しました。証券市場の拡大に伴い、IT投資の中でハードウェアへの投資の占める割合は減少し、ソフトウェアおよびサービスへの投資は増加する見通しです。証券会社はシステムの集中化が完了し次第、リスクマネジメント、ビジネス・インテリジェンスおよびCRMに関するシステムの構築に着手するでしょう。
証券業界におけるIT投資の規模と資本市場の取引高には関連性があります。2008年の中国証券市場における株式、投資信託、ワラント債および債権の一日平均出来高は1509億枚で、2007年より36%減少しました。QFII制度やETFのようなビジネス補助システムは、新たなアセットクラスや証券ディーラーによる金融商品を支えるほか、ITアプリケーションの重要な部分を構成します。
出典:セレント
「STPは好調な分野のひとつです。中国市場の開放とともに取引プロセスは徐々に複雑さを増すでしょう。特にA株(中国国内投資家限定)およびB株(海外投資家も購入可)市場が統合すれば尚更です。これに伴いSTPの基準を強化する必要があります」とセレント・アジアリサーチグループのアナリストで執筆者のフア・ジャンは述べています。
証券業界向けIT市場ではトップ5社のソフトウェアメーカーが市場の70%を占めています。主要メーカーとしてHiSunTech、SZKingdom、SunGard、HundsunおよびSunyardが挙げられます。証券業界におけるソリューションアプリケーション・メーカーのうちトップ10社はNCRを除いては全て中国企業です。
本レポートは6表および9図を含む30ページで構成されています。