後発優勢:中国の中小保険会社におけるIT成長トレンド
Abstract
(このレポートは2007年7月3日に中国語で発表されましたが、英訳版を"Late Development Advantage: IT Growth Trends at Small and Midsize Insurance Companies in China"というタイトルで2007年9月27日に発行しました。)
中国では大手保険会社に比べて中小保険会社の方が急速な成長を続けており、IT投資に振り向ける資金の割合も高くなっています。
中国の保険会社各社の株主構造は様々で、また事業規模にも大きな差があります。各保険会社はそれぞれが事業拡大の異なる局面にあるため、IT構築の動機付けやニーズも様々です。セレントは最新レポート「後発優勢:中国の中小保険会社におけるIT成長トレンド」で中国の中小保険会社におけるIT導入トレンドを比較しました。
ここ数年中国保険市場は成長を続けており、保険会社のITニーズは拡大しています。今回のレポートでは、中小保険会社の業務処理、戦略的拡大、販売と管理の状況を調査し、新たなニーズを分析し、それらのニーズが各社のIT構築に及ぼす影響について考察しました。
中小保険会社の場合、改良を必要とするような古いシステム抱えているケースは少ないため、初期導入時点からオープンプラットフォーム上での動作が可能となります。また、当初より集中運用モデルを採用する会社もあります。後発組であることの強みを生かして、IT業務に最新のテクノロジーを導入しています。
セレントでは2006年末から2007年初めにかけて、中小保険会社のCIOやCTOを対象に調査を実施しました。このレポートではその調査結果を分析しています。
調査した中小保険会社では、総保険料収入のうち平均3.38%をIT投資に振り向け、また、2007年のIT投資額は前年比で30.2%の増加が見込まれています。事業の急拡大によって生じた様々な機能へのニーズに応じるため、中小保険会社はIT投資総額の最大65%を新規プロジェクトに投入するとみられます。これは、IT投資に占める保守・管理費用の割合を大幅に上回る水準です。
「大手保険会社は、管理の一元化やIT資源の蓄積を図るため、各子会社に分散したシステムや資源を統合することに注力しています。また、中小保険会社のIT構築では管理関連のプロジェクトを増やすことが求められています。ITをどのように活用したら管理および顧客サービスの質を向上させられるかを模索しています。最近設立された新しい保険会社では、既存システムの機能改善と事業拡大に伴うニーズを満たす新機能の開発に注力しています」と、このレポートを執筆したウェンリ・ユアンは述べています。
①新規プロジェクトへの投資、②保守・管理プロジェクトへの投資、③システムのオペレーティングプラットフォーム、④J2EEと.NETの比較分析、⑤Webサービス/SOAの採用状況、⑥IT部門の人員構成、⑦運用・テクノロジー業務のアウトソーシングの可能性、⑧保険会社によるIT企業の評価、などに関する調査結果を分析しました。戦略的なIT戦略を計画中の中小保険会社、また中国の中小保険会社のIT成長トレンドを把握したいIT企業の双方に有益な内容となっています。
本レポートは23図と2表を含む全40ページで構成されています。