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リスク管理の一元化を可能にするトップダウンアプローチ【抄訳版】

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2016/01/12

Abstract

(英文レポート"Governing Risk: A Top-Down Approach to Achieving Integrated Risk Management "の重要部分を抽出し翻訳しました。)

世界の大手金融機関の多くは2000年代初めの経営不振を機に、2,500万ドルを超える資金を投じて組織全体のリスク管理(ERM)体制の構築を目指してきました。しかし金融危機の後遺症が残るなかでこうしたプロジェクトは失敗に終わり、金融機関のリスク管理体制は脆弱なままとなっています。プロジェクトの失敗を招いた最大の原因として、取締役会や経営幹部がリスク戦略およびリスク管理部門に関与していなかったことが挙げられます。彼らは、組織が法令を遵守してさえいれば、十分なリスク測定が可能であると考えていました。結局、複数の業務およびサポート部門に広がる複雑なリスクを把握し、説明責任を負うまでに至りませんでした。

KEY RESEARCH QUESTIONS
1 強力なリスク管理体制を築くために、取締役会が果たすべき役割は?

2

いかに組織化すれば効率的に管理できるか?
3

有効なリスク管理の実現を可能にする新たなテクノロジーとは?


本レポートは、金融機関とその提携先のテクノロジーベンダーがリスクをめぐる多種多様な課題に体系的かつ総合的に対処するためのリスクの分類方法と管理体制を提示しています。金融機関がこうした体制を確立できれば、多額の罰金や評判上のダメージを避け、経営幹部が自社の定めたリスク選好度の範囲内で長期的な価値創出を最適化できるなど、短期に相応のメリットを享受できるようになるでしょう。

金融機関がリスク管理を完全に一元化するためには、個別のリスク管理規律に応じた段階的アプローチをとる必要があります。最優先すべきは、取締役会が統括するリスク管理体制を構築することでしょう。

「強力なリスク管理体制を築けば、組織全体に明確で求心力のある指示、方針、業務手続、規制、コミュニケーションを示すことができます。そして最も重要なのは、一元的なリスク管理体制を確立しやすくするテクノロジー(ビッグデータ解読技術、インメモリコンピューティング、ダイナミックレポーティングなど)が今では簡単に入手できるようになったことです」とセレント銀行プラクティスのシニアアナリストでレポートを執筆したジョアン・マクゴーワンは述べています。

レポートでは、リスク管理、執行リスク、モデルリスク管理、ストレステスト、オペレーショナルリスクの統合に関するベストプラクティスを紹介しています。また、金融機関が抱える規制上の課題を明らかにし、強力なコンプライアンス基盤を作ることで、単に規制要件を満たすだけでなく、銀行のリスク管理プロジェクトに付加価値を与え、安全に組織刷新を進められると指摘しています。