欧米諸国におけるアンバンドリングとソフティングの動向
Abstract
英国におけるブローカレッジサービスのアンバンドリングとソフト・コミッション協定に関する規制(「バンドルド・ブローカレッジ及びソフト・コミッション協定」)は、ブローカーが提供できるサービスを「注文執行」と「リサーチ」に限定して行くでしょう。一方、米国における同様の規制はさほど極端なものではなさそうです。
英国金融サービス機構(FSA)のコンサルテーション・ペーパー(CP176)は、同国の証券およびファンド・マネジメント業界に大きな影響を及ぼすでしょう。この法案によって、ファンド・マネジメント会社はコミッション・シェアリングを益々進めて、取引相手の会社を絞り込むことにつながりそうです。ただし、MiFIDがCP176に取って代わる可能性があり、その場合FSAやファンド・マネジメント会社が進めてきた取り組みは徒労に帰すかもしれません。一方、米国における同様の規制の概要(証券取引委員会(SEC)第28条(e)の「セーフハーバー」条項に関するガイダンス)の影響は、さほど大きくなさそうです。
セレントの最新レポート「欧米諸国におけるアンバンドリングとソフティングの動向」では、英国で成立したアンバンドリングとソフティングに関する規制(CP176)とMiFID下の指令の概要をまとめました。また、CP176と米SEC規則第28条(e)「サーフハーバー」条項との比較もあります。さらに、CP176の下で現れたコミッション・シェアリングという新たな取り決めの概要を示しています。これと同様の取り決めが、米国市場でも適応しつつあります。最後に、MiFIDがフランス、ドイツ、さらには欧州全体における取引に及ぼす影響について明示しました。
セレントのCEOで上記レポートの共同執筆者であるオクタビオ・マレンジは、「MiFIDにおけるより厳しい規制を考えると、この指令の導入によってEU市場におけるバンドリングとソフト・コミッションは終わりを告げる可能性が十分にあります」と述べています。
セレントは、CP176の施行に伴って、英国における現行の注文執行手数料の7%にあたる年間1億4,500万ポンド(約306億円)が大手証券会社に、またバンドリング・サービスおよびソフト・コミッション全体の8%にあたる年間3,200万ポンド(約68億円)が第三者のプロバイダーに動くと見ています。また、手数料の効率化と透明性が向上することから、今後数年間で、手数料総額の5%にあたる1億9,300万ポンド(約410億円)の漸落を予測します。
一方、米国における影響はより軽微なものと予想されます。セレントの予測では、ソフト・コミッション総額は18億5,000万米ドル(約2,100億円)前後で推移し、その後5年間で13~16億米ドル(約1,500~1,800億円)に減少する見通しです。ソフト・コミッションの減少分は、大半がコミッション管理ソフトウェアのプロバイダーやリサーチ評価会社に動くでしょう。その一部を第三者のリサーチ・プロバイダーが取り込む可能性がありますが、売買執行価格に手数料が織り込まれる仕組みがこうした取り組みを妨げることも考えられます。
セレント証券プラクティスのアナリストでレポート共同執筆者のデビット・イーストホープは、次のように述べています。「SEC規則第28条(e)の『セーフハーバー』条項の文面は第三者のプロバイダーに有利な内容ですが、実際に手数料を受け取る仕組み(売買執行価格に含まれている)が、米国では第三者プロバイダーの利用拡大を妨げる可能性があります」
本レポートは、4図4表を含む全31ページで構成されています。