イスラエルのInsurTechが世界に及ぼす影響
2017/06/15
スタートアップ天国であるイスラエルは、InsurTech重視へと大きく舵を切りつつあります。なぜ同国の動きに注目すべきなのでしょうか。
Key research questions
- イスラエルのInsurTechはどうユニークなのか?
- イスラエルのInsurTechをめぐる動きは現在どの段階にあるか?
- イスラエルのInsurTechは世界にどのような影響を及ぼすか?
Abstract
イスラエルは小国ながら、テクノロジーやベンチャーキャピタル主導のスタートアップ企業が多く存在しています。2017年3月にインテルは150億ドルを投じてMobileye(ロボットカーのテクノロジープロバイダー)を買収しました。この案件が発表される前から、イスラエルではInsurTechをめぐる動きが活発化していましたが、本レポートはそうした活動の基盤を明らかにし、それが世界の保険会社やInsurTechセクターにとってどのような意味を持つか考察しています。
ここ2年間にイスラエルでは引受け、不正防止/分析、販売、サイバー保険に焦点を当てたInsurTechの動きが急拡大しました。フィンテックが同国のスタートアップ企業のエコシステムが持つ強みを生かすことを可能にし、中でもイスラエル軍の精鋭部隊が開発したセキュリティー、モビリティーと技術的なスキルの高さが追い風となりました。
「イスラエルが抱える戦略地政学上の課題、卓越したテクノロジー/科学に関する教育水準、世界的なテクノロジー企業の存在感の大きさ、テクノロジーの優位性を活用する軍隊などの要素を背景に、同国のスタートアップ企業の多くがサイバーセキュリティーと不正防止の2つを重要テーマに掲げているのは当然といえるでしょう。」
「イスラエルのInsurTechには、スタートアップ企業のエコシステムを構成する各要素が既に備わっています」と保険プラクティスのリサーチディレクター、ドナルド・ライトは述べています。