BANKIFI: エンベデッド・バンキングを利用した中小企業向けサービスの再活性化
Abstract
銀行は中小企業分野において、バリューチェーンへの参入や事業拡大を図っている様々なタイプのプロバイダーとの厳しい競争に直面している。これらの変化のきっかけとなったのはオープンバンキングであり(それだけが要因ではないが)、全ての地域の銀行は、その対応を検討する必要がある。
規模に関わらず企業を経営するには銀行サービスへのアクセスが必要であり、そのため昔から既存の銀行は、中小企業分野で当然のように強い立場を得てきた。しかし、こうした安定した状況は急速に崩れつつある。
専業チャレンジャーバンク、フィンテック、会計・商取引分野のプラットフォームは、収益性の高いサービス部門(融資など)を獲得しようとしているか、事業主の業務管理に不可欠な主要インターフェースとして自らを位置づけている。既存の銀行にとって、これは収益に対する明確なリスクである。こうした課題に対応するには、事業の重点を商品の販売から、顧客が日常的な業務上の課題に対応できるよう支援することへシフトするなど、新しい発想が必要になる。
BankiFi (https://www.bankifi.com/)は、こうした課題に取り組む銀行を支援するために2017年に設立されたソフトウェアベンダーである。BankiFiの提案は、法人顧客に商品を販売する銀行から、事業管理に必要なサービスとツールを提供する銀行への転換を支援するというシンプルなコンセプトに基づいている。つまり、資金回収や会計など、顧客が日常的に行っているワークフローを改善するということである。
この分野は急速に拡大している市場セグメントであり、新規参入者の大多数は、銀行と直接競合するか、銀行と競合する他の企業を支援するかのいずれかに注力している。しかし、BankiFiはこれらとは異なるアプローチを取っており、銀行が中小企業顧客のニーズにより的確に応えられるよう積極的に支援を行うという、新しいエコシステムへの参入者としては稀な例である。
2021年6月、セレントはBankiFiの創業者であるMark Hartley氏 (CEO兼共同創業者)、Marijke Koninckx氏 (製品責任者)、Conny Dorrestijn氏 (共同創業者)より、同社のサービス、位置付け、およびこれまでの状況について話を伺った。