暗号経済の道標:仮想環境SANDBOX内のHSBCの支店
メタバースはクリプト領域よりも早く主流になりつつある。JP MorganのOnyxは、Decentralandのファーストムーバーであり、トランザクションバンキングサービスと決済サービスの提供に焦点を当てている。これに続いたのがHSBCである。HSBCはThe Sandboxの「ランド」(仮想土地)を取得し、「エステート」を開発してゲームやeスポーツが好きな顧客層に対応する予定である。
「HSBCは、新しいプラットフォームを通じて新しい体験を創造し、既存および将来の顧客、そして当社がサービスを提供するコミュニティに対し、チャンスあふれる世界を提供するための大きな可能性を見出している。」HSBCアジア太平洋地域の最高マーケティング責任者、Suresh Balaji氏(fintechnews.hk)
ランドの現在の二次市場価格が8,000米ドル(下記参照)であることを考えると、メタバースで顧客エンゲージメントを試みることは、マイクロターゲットであるデジタルバンキングおよびフィジカルバンキングよりもかなり安くすむかもしれない。セレントは今後HSBCのエステートの開発状況を観察し、報告する。
解説
メタバースとは?
Merriam-Websterはメタバースを「人々が社交、遊び、仕事のために集まる没入度の高い仮想世界」と定義している。
現在、数多くの仮想世界が存在し、Web 2.0 (GoogleやMetaなどのプラットフォームプレイヤーが支配する、中央集権的な今日のインターネット)から生まれたものもあれば、Web 3.0 (ブロックチェーン上に構築された、ユーザーが所有・管理する分散型のインターネット) から台頭してきたものもある。Web 2.0の代表的なメタバースには、Fortnite、Roblox、World of Warcraftなどがあり、Web 3.0メタバースには、Decentraland (JPMorganが選択したもの)、The Sandboxが含まれる。
より詳しい定義は、筆者のブログWEB 3.0と分散型金融の定義を参照されたい。
The Sandboxとは?
ブロックチェーン・テクノロジー上に構築されたメタバースのトップ3のひとつ。The Sandboxの定義によれば「クリエイターがEthereumのブロックチェーン上で資産やゲーム体験を作り収益化できる、ユーザー生成型のゲームプラットフォーム」(linkedin)。
The Sandboxは参加者が保有する土地「ランド」で構成される。「ランド」に価値があるのは、参加者がランドによって他の参加者と関わり経験を収益化できるためである。また、The Sandboxのランドは166,464個しかないことからも価値がある。ランドオーナーはPwC Hong Kong、Gucci、Snoop Dogg、そして今回のHSBCと多岐にわたる。
The SandboxはAnimoca Brandsが所有している。
ランドの購入方法は?
ランドを購入するにはまずウェブサイトhttps://www.sandbox.game/en/にアクセスし、クリックしてアカウントを作成する。一次市場でランドを購入するには、事前に暗号ウォレットを用意し、SANDとETHの仮想通貨を購入しておく必要がある。詳しい上場はこちらに掲載されている。二次市場のランドで購入するには、ウェブサイトhttps://opensea.io/collection/sandboxにアクセスする。なお、二次市場での平均価格は約8,000米ドル (ETH:USD 3/23/22)。