インド生命保険市場におけるマイクロインシュアランス:将来性と課題
Abstract
インドでは「Financial inclusion(金融包摂)」という言葉が広く使われるようになっています。保険会社は、低所得者層のニーズに対応しつつ収益も確保できるビジネスの可能性に気づいています。これまではマイクロファイナンスが注目されてきましたが、ここにきてマイクロインシュアランスがブームになりつつあります。
セレントの最新レポート「インド生命保険市場におけるマイクロインシュアランス:将来性と課題」は、同市場におけるマイクロインシュアランスの普及状況を分析しています。この分野はここ2~3年で急速に進歩し、国営および民間企業が相次いで参入しています。
新規契約件数は、2008年度の1,320万件から2010年度には1,980万件に増加しています。これらの多くは協同組合、非営利団体やマイクロファイナンス機関からその会員に販売されており、保険商品が大部分を占めています。また下表からもわかるように、そのほとんどは国営企業であるLife Insurance Corporation(LIC)が販売しています。これには、同社が長年にわたり幅広く販売網を構築してきたことが大きく寄与しています。
「インドには、貧困ライン以下またはそれに近い生活を送っている人が数多くいます。マイクロインシュアランスは、これらの人々にリスク補償を提供する貴重な手段となり得るでしょう。また、新たな販売チャネルが開拓されれば、保険会社にとって引き続き実行可能な提案となるはずです」とセレントのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
インドのマイクロインシュアランスを取り巻く環境は、いくつかの注目すべき課題を抱えています。インドのように広大な国土を持つ国でターゲット顧客にアクセスすることは、口で言うほど簡単ではありません。特に農村部は識字率が低いため、テクノロジーの利用にも限界があります。セレントは本レポートを通じて、マイクロインシュアランス市場の発展状況を伝えるとともに、インドのケースから学ぶべき貴重な教訓を紹介しています。