市場リスク/ カウンターパーティーリスク関連テクノロジーの未来像
クラウド3.0の世界における未来のリスクテックのパラダイムとは?
Abstract
金融市場と経済状況全体が大きく混乱する中、市場活動の変化、金利の上昇、規制強化再導入の動きはすでに明白になっており、多くの業界関係者が今後は著しい市場変動、景気後退の逆風、テクノロジーによる破壊的変化が起こると予想している。
市場リスク、カウンターパーティの信用リスク、XVAリスクは、成熟し十分に管理されているリスクと認識されているが、だからと言って現在の市場の動向と無縁ではない。キャピタルマーケッツ企業が複雑でボラティリティの高い市場を乗り切るためには、次世代のトレーディングテクノロジーと市場リスクテクノロジーの機能に支えられた、目的に応じて機敏に対応する姿勢が必要である。
しかし、リスク機能(およびリスク管理テクノロジー)は常にデジタル変革の最前線に位置してきたわけではない。実際、デジタル世界の変化に向けた野心と意欲という点で、多くの場合、リスク機能は金融サービス事業の他の分野に後れをとってきたと言える。ところが、最近の世界的な新型コロナの感染拡大や社会政治的イベント、さらにはデジタルパラダイムへの移行の急加速を受け、将来のリスク機能に再び焦点が当てられようとしている。
現在、リスクエコシステムの進化の初期段階にある企業は留意する必要がある。業界がクラウド3.0に向かうにつれ、先駆者、追随者、後発者の間の能力差は、イノベーションの勢いが持続するファストムーバー、スキルセット/タレントベースの基盤強化、クラウド対応の新しい提案によるネットワーク型エコシステム主導のレバレッジによって拡大すると予想される。
先進的な企業は、タイムリーでデータに基づいた、リスクに見合った意思決定を行うために、中核的なビジネス/ITとフロント/ ミドルオフィスのリスク管理プロセスを合理化するための攻めと守りの取り組みを推進している。今、賢明な投資をしなければ、後になって代償を支払うことになる。 「幸運は用意された心のみに宿る」という古い格言は今もなお変わらない事実である。企業がどのような道を歩むにせよ、より速く動き、より効率的であり続け、前に進む力を身につけた企業が最終的に勝利を収めることになる。