金利スワップ取引の電子化:取引後処理の行方がカギ
Abstract
金利スワップをめぐる取引後サービスの市場規模は、2009年の2億ドル(約181億円)から2012年には5億ドル(約452億円)に急増するとみられています。当然ながら、金利スワップ取引は極めて活発に行われており、店頭取引の効率化が継続的に進められています。
セレントの最新レポート「金利スワップ取引の電子化:取引後処理の行方がカギ」は、世界の金利スワップ市場における電子取引と取引後処理の拡大について分析しています。金利スワップ市場は、インターディーラー(IDB)市場と対顧客(D2C)市場に分けられます。09年上期のIDBの市場規模は317兆ドル(約28694兆円)と06年下期から53%拡大し、10年下期には340兆ドル(約30776兆円)に達する見通しです。同様に、D2Cも09年上期の市場規模が120兆ドル(約10862兆円)と06年下期から41%拡大しており、10年下期には135兆ドル(約12220兆円)まで伸びるとみられています。
金利スワップの電子取引に必要なインフラは以前から開発されていましたが、電話による取引が主流であるため、他のデリバティブ市場ほど取引の電子化が進んでいません。しかし、取引の効率化や透明化を促す規制が取引の電子化を加速させ、こうした状況が変わる可能性もあります。
注:H1は上半期、H2は下半期
出典:セレント
「電子取引はようやく本格的に普及し始めたところですが、取引後サービスに関しては全く状況が違っています。この分野は、金利スワップ市場の中でも最も活況を呈しています」とセレントのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワル は述べています。
金利スワップ市場では、店頭取引市場の独占状態を打ち破るべく取引所が攻勢をかけていますが、店頭取引市場は取引後サービスを向上させることでこれに対抗してきました。同市場はインターディーラー取引が主流で、ディーラーは決済サービス、ポートフォリオの照合・圧縮、マッチング・確認などの分野でサービスプロバイダーと協力し、効率的なインフラを構築してきたため、この状況は引き続き変わらないでしょう。店頭取引に対抗する取引所にとって、金利デリバティブ取引は極めて参入障壁の高い市場です。規制によってビジネス環境が変わらない限り、取引所は店頭市場を脅かす存在にはなれないでしょう。
注)ドルから日本円への換算レートは、20010年3月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。
このレポートは10図と1表を含む38ページで構成されています。