日本の保険業界におけるレガシー・モダナイゼーション パート2:保険業界への提言【日本語】
Abstract
このレポートには英文版 "Legacy Modernization in Japan’s Insurance Industry, Part 2: Prescriptions and Proposals" (2016年6月10日発行)もあります。
セレントは2015年春に日本の保険、銀行、証券業界向けレガシー・モダナイゼーション・サーベイ2015を実施しました。本レポートでは、 分析の対象を保険セグメントに絞り、パート1で把握した日本の保険業界のレガシー現代化の現状に基づき、本パート2では、対処策と保険業界への提言を述べ ます。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 日本の保険業界におけるレガシーシステムの現代化はどの段階にあるか? |
2 |
保険会社にとって、現代化とは何か?それは何故か? |
3 | 保険会社はどのようにして現代化を進めるべきか? |
調査において現代化によって何を期待するかを問うたところ、業務の敏捷性、ITコストの削減が筆頭に挙げられました。では、どうやって実現すべきか。セレントは、以下の2つのテーマを提唱します。
- 保険事務処理のストレート・スルー・プロセッシング(STP)
- システムのみならず、事務及びコミュニケーション・プロセスの高運用性の実現
「基 幹システムの現代化は、内部的なIT資産の置換に止まりません。これまでの内部的な視点、つまり基幹システムを俯瞰するだけでなく、外部的な視点、つまり 顧客やステークホルダーのデジタル行動とそれが生み出す膨大なロー・データ、多種多様なデータソースとそのアクリゲーター、クラウドやビックデータ技術に よる分析、AIやIoT、ロボティクスによるその活用などを考える視点が、保険会社に必要とされているのです。外部的な視点を失った瞬間に、全ての基幹シ ステムはレガシーとなるでしょう」とアジア金融サービスグループのシニアアナリストの柳川英一郎は述べています。
本レポー トは、基幹システムの現代化は保険会社に何を意味するのかを明らかにし、セレントの提唱するデジタル金融サービスとレガシー現代化の枠組みを解説しつつ、 レガシーを再生産しないレガシー現代化のための3つの提言を示します。最後に、昨今の日本の保険業界における海外保険会社買収の動きについて、本稿での提 言に照らし合わせ、示唆することは何か、見解を述べて締めくくっています。
本レポートは、24p、19図、2表で構成されています。