中小企業向け決済サービスを再考:今こそ変化の時
Abstract
銀行が中小企業向けサービスで競争上の優位を確保し、平均以上のリターンを上げるためには、銀行の価値の向上を図る必要があります。そのためには視野を広げ、中小企業の決済ニーズに基づいた顧客関係を構築していくことが求められます。
1990年代から2000年代初めにかけて銀行業界は中小企業向けサービスの戦略を転換し、これまでに大幅な前進や成功を果たしてきました。ここにきて銀行は新たな課題やビジネス機会に直面しています。今後も前進を続けるためには、中小企業向けサービスに継続的に投資し、規模を拡大し、この独特な顧客セグメント向けサービスに関する理解をさらに深めることが求められるでしょう。
セレントの最新レポート「中小企業向け決済サービスを再考:今こそ変化の時」では中小企業の決済ニーズや行動の変化に注目し、幅広い決済サービスを提供することの重要性を説いています。レポートの第1章は、市場の変化に伴う中小企業の潜在ニーズに焦点を当てています。第2章は銀行がそうした変化の中でいかに収益を確保できるかを考察し、各行が提供する現在および将来の中小企業向けサービスの評価基準を提示しています。最終章では、サービスの向上と顧客基盤の拡大に向けて新たな方法を模索中の銀行およびノンバンクの例を紹介しています。
- 市場トレンドが行動を方向付け: 決済環境の変化は、中小企業の金融サービスへのニーズや金融機関に対する見方を決定付けています。
- 決済サービスの見直し: 中小企業の姿勢や行動の変化を受け、銀行は新しい視点から自行のサービスを見直す必要があります。
- 新体制への指針: 銀行、ノンバンク、ベンダーは決済関連商品やサービス(特にオンラインの商品やサービス)の変革を進め、中小企業のニーズと既存の商品やサービスとのギャップを埋める努力をしています(表1)。
金融機関 | サービス |
バンク・オブ・アメリカ | End to endの給与支払いサービス; 電子請求書 |
カーディナル・バンク | 中小企業向けモバイルバンキング |
コマース・バンコープ | Tiered authority |
Intuit | 顧客経験の向上 |
Prosper | Person to person lending(個人間の金銭貸借契約を成立させるためのオンラインサービス) |
ウェルズ・ファーゴ | 納税; クロスボーダー決済 |
Wesabe | オンラインによる個人の財務管理 |
出所: セレント |
「銀行が中小企業の顧客を獲得・維持するためには当座預金や融資サービスの質を向上させるだけでは十分とはいえません。将来にわたって中小企業向けサービ スによる大幅な利益寄与を期待するのであればなおさらのことです。競争上の優位を確保して平均以上のリターンを上げるためには、中小企業の視点に立った上 で、銀行の価値の向上を図らねばなりません」と執筆したシニアアナリストのエドワード・ウッズは述べています。
本レポートは2表と16図を含む31ページで構成されています。