法人向けモバイルバンキング:キャッシュマネジメント革命
Abstract
(このレポートは2011年12月22日に"Corporate Mobile Banking: Revolutionizing Cash Management "というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2012年4月27日に発行しました。)
法人向けモバイルバンキング市場は成熟化が進んでおり、多くの新型デバイス、より低コストのデータプラン、より高速なネットワークなどが手に入るようになっています。法人ユーザーは、取引先銀行の商品ラインによっては、豊富で充実したモバイルバンキングサービスを利用できるようになっています。
モバイルの時代の到来です。全世界で、スマートフォンからタブレット端末に至る様々なモバイル機器が販売され、人々に利用されています。法人ユーザーも例外ではありません。ブラックベリーを使いこなす法人ユーザーは、むしろモバイルテクノロジーを早い時期から活用してきたといえるでしょう。
セレントの最新レポート「法人向けモバイルバンキング:キャッシュマネジメント革命」は、モバイルソリューションとモバイル機器が成熟化するなか、金融機関は、法人ユーザーの全てがモバイルバンキングのユーザーであるとは限らないこと、リテールバンキングの収益性が低迷する状況では法人顧客の重要性が特に増していることなどを認識し始めています。銀行は、リテール向けモバイルバンキング事業から得た多くの教訓を踏まえ、銀行主導で法人向けモバイルバンキングを推進することがB2B決済の拡大を促し、リテール向けモバイル決済の普及にもつながると考えています。
最大の懸念要因の1つはセキュリティの問題です。特に、モバイルユーザーが取引の起点となるケースではこの問題が懸念されます。現在、法人向けモバイルバンキングに安全上の問題は生じていない模様ですが、将来の安全が保障されている訳ではなく、金融機関と企業は経験則に依存することはできません。セレントは、今後モバイルで不正行為を試みる事例は爆発的に増えるとみています。それがいつ、誰に(誰がターゲットになるか)、どのように起きるかが問題といえるでしょう。それゆえ、銀行は販売チャネルや商品の枠にとらわれず、幅広い視野でセキュリティに取り組む必要があります。セキュリティトークンに替わる新たな認証方式を採用することも有効でしょう。
「銀行は法人向けモバイルソリューションの活用に関する指針を定めるべきでしょう。モバイルチャネルへの対応を怠った銀行は、必ずや後れを取るからです。モバイルはもはや、『あった方がいい』程度のものではなく、なくてはならない主要チャネルになっているからです」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジェイコブ・イエーガーは述べています。
本レポートは、法人向けモバイルバンキングの現状について調査・分析し、特にキャッシュマネジメントの分野でなぜモバイルバンキングが重要であるかを検証し、導入に向けてのハードルを明らかにしています。さらに、セキュリティ上の課題、タブレット端末の役割、オンラインとモバイルソリューションの統合についても取り上げています。最後に、法人向けモバイルバンキング機能について解説し、金融機関がソリューションを導入する際の方法についても提言しています。