欧州におけるサードパーティプロバイダー・エコシステムの進化: オープンバンキングの健全性評価
Key research questions
- 欧州のTPPエコシステムはどのように成長してきたか、そして現在PSD2の下でどのような組織が認可されているか。
- 大多数のTPPはどの顧客層をターゲットにしているか?
- COVID-19がTPPセクターに与える影響とは?
Abstract
オープンバンキングの取り組みの最も大きな影響は、少なくともバリューチェーンにおける競争とイノベーションを促進するという観点からは、サードパーティプロバイダー (TPP)とその提供するサービスの発展を促進することである。
セレントはこの競合企業グループを、「口座保有機関から得られる顧客データやその他のサービスを直接利用した商品やサービスを提供するノンバンクのプロバイダー」と定義している。これはAPIや二国間接続、仲介業者を介して行われることもある。そのためTPPという用語には、「フィンテック」エコシステムの一部とみなされる多くの独立系プロバイダーが含まれるほか、銀行のAPIを利用してサービスを提供している様々なノンバンク企業も含まれる。
TPPの健全性と多様性を理解することは、国や地域におけるオープンバンキングの影響を評価するための合理的な方法である。TPPとは、オープンバンキングによって可能になった、または強化された利益を生む可能性のある価値提案を有していると考える個人によって設立または運営されるビジネスである。従って、このセクターのダイナミクスとオープンバンキングの「成功」、あるいはより良い意味での「有効性」との間には明確な関連性がある。
オープンバンキングの現状をより明確に把握するため、セレントは欧州のTPPの状況を詳細に分析した。この分析では、特に規制当局 (National Competent Authority, NCA) からPSD2で定められた免許を付与されたTPPに焦点を当てている。欧州を分析対象に選んだ理由は、オープンバンキングの枠組みが比較的成熟しており、全地域をカバーしていることである。この分析には英国も含まれているが、英国は欧州連合(EU)を離脱したが、PSD2の要件は国内法の一部として順守されている。本調査のシンプルな目的は、オープンバンキングが今後も発展を続け競争環境を変える可能性があるかどうかを見極めるために、現在の欧州におけるオープンバンキングの現状を理解することである。
今回の調査結果は欧州独自のものであるが、世界中の銀行、規制当局、TPP 加盟国が各々のオープンバンキングの取り組みの現状を評価する上で、重要な教訓や類似点を示している。
(詳しい情報は、セレント北川俊来TKitagawa@celent.comまでお問合せください)