保険証券書式のライフサイクルにおける創造性とコラボレーション
Abstract
保険とは、もしもの場合に将来支払をするという約束である。保険証券書式とは、この約束を書面に明示したものである。すべての保険会社において、保険証券の作成およびメンテナンスは中心的業務である。
ここ数年、商品の差別化が新たな重要性を持つようになっており、保険会社は、中心的機能としての商品管理の重要性がますます高まっていると考えている。損害保険会社のシニアエグゼクティブが目標と目的について説明する際、アジリティ、柔軟性、即応性、市場投入スピードについて言及することがよくある。新たなポートフォリオは、価格設定、リスク選択、販売におけるメリットを保険会社に与える。古いもの (商品) は、市場がそれを見捨てない限り、良いものと言える。しかし、個人保険と商業保険のいずれにおいても、競争の中心は、新商品や機能が強化された商品を迅速に展開することになってきている。また、新商品を頻繁に提供できることも優位性につながっている。
これらのプロセスを実施する際の現在のアプローチと課題を理解するために、セレントは10社の保険会社にインタビューを行い、既存のプロセス、組織構造、問題点、および対象とする様々な顧客層について話を聞いた。また、テクノロジーの利用についても調査した。
現在の保険証券書式作成の管理プロセスは、MS Word、Excel、およびOutlookを使って主にマニュアル作業で行われている。したがって、商品マネジャーにとって、Microsoftが中心的なテクノロジープロバイダーであることは明らかである。しかし、このマニュアル作業中心のプロセスにより、アジリティが欠如し、商品開発サイクルが長くなっている。そのため、商品の差別化とアジリティの向上を目指している保険会社は、既存のプロセスを変える方法を見つける必要がある。
こうした保険会社にとって、テクノロジーの活用による改善は魅力的な選択肢の1つである。インタビュー参加者のコメントと報告された測定基準を基に判断すると、標準的なワークフローと専用の書式管理のアプリケーションによって、生産性とプロセスの透明性は向上する可能性がある。法律業界で長い間主要ツールとなっていた自動化されたテキスト分析と文書比較ツールは、新商品の開発、競合する書式との比較、および影響評価に役立つだろう。
こうしたテクノロジーはプロセスの迅速化だけでなく、従業員の退職に伴う課題の軽減にも役立つ。技術的な専門知識の喪失は、商品管理において特に深刻な問題となっている。保険証券書式の作成およびメンテナンスのエキスパートになるには、かなりの時間がかかる。
テクノロジーは経験のギャップを埋めるのに役立つ。書式管理のソフトウェアには、新しい書式を作成する出発点として使用できるテンプレートが用意されている。過去のプロジェクトの自動化された監査証跡は、実用的なリアルタイムのトレーニング資料を提供する。分析ツールは、影響評価の経験の浅い従業員をサポートしてくれる。また、このツールは各書式のパターン (類似点と相違点の両方) を識別することもできる。キーワードによる検索ユーティリティは、特定のコンセプトが含まれる書式を検索することができる。改善されたコラボレーションツールとワークフローツールは、参加者に多数の引き継ぎ事項について指導し、タスクの締め切りを通知し、複数の利害関係者間のコミュニケーションを支援することができる。
書式管理プロセスにおけるテクノロジーの目的は、人間の作業に取って代わることではなく、人間の作業を補強することである。経験の浅いスタッフがベテランに代わって作業に当たる際に、テクノロジーは、スループットを上げながら、既存の一貫性の水準とアンダーライティングの目的を維持するのに役立つ。