保険CIOの将来像:イノベーター、インテグレーター、あるいは?
Abstract
デジタル化が進む時代においては、テクノロジーと事業戦略を切り離すことがますます難しくなっています。業務部門とIT部門をつなぐ重要な役割の担い手として最もふさわしいのはCIOといえるでしょう。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | CIOの役割はどのように進化しているか? |
2 |
今後、CIOにはどのようなスキルと能力が求められるか? |
3 | CIOは次に何をすべきか? |
多くの企業はデジタル化を目標に掲げており、それが主なきっかけの1つとなってCIOの役割を見直し、考え直す動きが広がっています。CIOは既存ビジネスのリスクおよびコストの軽減を求められる一方、革新的な商品・サービスの実現を可能にする投資も行わなくてはならず、袋小路に追い込まれているといってよいでしょう。多くの保険会社とそのCIOにとって、こうした「業務戦略責任者」としての役割はこれまでになかったものです。
「今後デジタル時代を迎えるにあたり、保険会社には組織の新たなリーダーが必要となることは間違いないでしょう。そこで考慮すべきは、現行のCIOは求められる変化に対応する意欲があるか、社内の最高幹部はデジタル時代のCIOを受け入れるビジョンを持っているかという点です」と、セレント保険プラクティスのエグゼクティブアドバイザーで今回のレポートを共同執筆したキャサリン・スタッグマーシーは述べています。
レポートでは、CIOの役割がいかに進化しているか、また、IT部門の資本および運営予算の管理という従来の責務が組織全体のコスト基盤に占める比重は引き続き大きいとみられます。
将来的に、CIOは従来とは異なる新たな役割をいくつか担うことになるでしょう。イノベーターとして、業界内の変化、現在および将来のビジネスモデル、将来テクノロジーが担う役割を察知し、インスティゲーター(推進者)として、変化をもたらす主体となり、世界がどのように変化するのか、それがビジネスにどのような影響を及ぼすのかに注目します。そして、古い世界と新しい世界をつなぐのがインテグレーターとしての役割です。
レポートではまた、組織内でいかに人材を育成していくかについて論じています。意欲的なCIOは、こうした将来へのビジョンと自らのキャリアとの関係、そして次の道をいかに開いていくべきかを明確に見極めるでしょう。そしてベンダーは、主要なステークホルダーであるCIOとの関係の変化を注視するでしょう。
本レポートには5つの図と1つの表が掲載されています。