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アドバイザーの将来像:破壊的な力を持つトレンドをどう乗り切るか【抄訳版】

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2014/08/19

Helping Firms and Advisors Navigate the Next Wave of Market Disruption

Abstract

(このレポートは2014年8月20日に"The Future of the Advisor: Helping Firms and Advisors Navigate the Next Wave of Market Disruption " というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2014年11月7日に発行しました。)
*ダウンロード:レポート(日本語)=抄訳版PDF、(英語)=原文レポートPDF

ウェルスマネジメント業界にとって、今後1年半から2年間は極めて重要な期間になるでしょう。アドバイザーのツールとしてのテクノロジーと、従来のアドバイザーの地位を揺るがす破壊的な力を持つテクノロジーとの拮抗が、かつてないほど強まりつつあるからです。金融機関は、アドバイザーの位置付けと、新たなサービスの提供方法を真剣に評価する必要があります。また、顧客のニーズを満たしつつ、ウェルスマネジメントの全プロセスのコモディティ化を避け、アドバイザーの存在感を維持できるようなテクノロジー導入方法を見極めなければなりません。

セレントの最新レポート「アドバイザーの将来像」はウェルスマネジメントの現状を分析し、今後の投資顧問ビジネスの展望を示しています。ウェルスマネジメント業界とアドバイザーをめぐる今後のトレンドを予測するとともに、現在進行しつつある変化にいかに対応すべきか提言しています。

金融機関はこの5年間、幅広いプレッシャーや課題への適応を余儀なくされてきました。しかし、まだ口火は切られたばかりであり、この先も様々な破壊的な圧力がさらに長く続くとみられます。2009年から13年にかけてフロントオフィスのアドバイザー用ツール、フロントからバックオフィスまでをカバーするプラットフォーム、マルチチャネル管理などに長期投資を行った金融機関は、それ以前のニーズに最も巧く適合したといえます。とはいえ、それで完了とするのではなく、自社の戦略的投資は「いまだ進行中」であると考えた方が賢明でしょう。今後2年間は、セレントが2010年以降取り上げてきた数多くの新しいトレンドが最大の成果をもたらす一方、より新しく破壊的なトレンドが相次いで生じるとみられます。

現在、ウェルスマネジメント業界や投資運用のビジネスモデルに影響を及ぼしている様々なトレンドは、主に3つのカテゴリーに分けられます。すなわち;

① 投資家の期待の変化(価格設定や顧客サービスに対する)
② 投資家の人口動態の変化
③ デリバリーモデルの変化

これらは、いずれもテクノロジーの向上による影響を受けたものであると同時に、今ではそれに影響を及ぼすトレンドとなっています。

「消費者向けテクノロジーの向上と投資家の志向や人口動態の変化が好循環を生み出したことを受け、ウェルスマネジャーは常に投資家の求めるテクノロジーとサービスの導入を迫られる一方で、これらのテクノロジーを使って自らのアドバイザリーサービスを補強し、『ハイタッチ』サービスを維持するという、複雑な状況が生まれています。また、手数料の安い新しいビジネスモデルを試験的に導入して新たな顧客を取り込みつつあるオンラインアドバイザーの成長は、まさしくこのサイクルです。オンラインアドバイザーは今のところ、本格的な助言サービスには手が届かないマス・マーケット、マス富裕層、若年層の投資家などをターゲットにしています。しかし将来的にはオンライン業者の再編が進み、十分な規模と効率性を備えたプレーヤーはより上の富裕層をターゲットにすると予想されます」と、セレント証券グループのシニアアナリストでレポートを共同執筆したウィル・トラウトは述べています。

「ウェルスマネジャーが投資助言市場の課題に対処する際に最も避けているのは、アドバイザーが富裕層および超富裕層向けサービスに特化する一方で、若年層/マス層/マス富裕層が自律的およびハイブリッド型テクノロジーを利用するようになることです。ただし、今後は、運用資産規模にかかわらず、自分の選好するチャネルでサービスを受け取りたいという投資家の声は強まるでしょう。この顧客の資産レベルにはこのチャネルで、といった固まった姿勢のセグメント化モデルは、徐々に消滅するとみられます。さらに、複数の口座を持つ投資家が自律型サービスの割安な手数料とアドバイザーが対応する商品の手数料を比較するようになると、商品重視の価格設定の魅力は薄れるでしょう。価格設定やセグメント化に対するアプローチが変われば、ウェルスマネジャーがサービスや選好するチャネルの選択肢をいくつか用意し、投資家が運用資産残高に応じて設定された価格を選ぶことも可能になるとみられます。リレーションシップベースの一律手数料にカスタマイズサービスのコストが追加される形式となるでしょう」と、ウェルスマネジメントのリサーチマネジャーでレポートの共同執筆者であるイザベラ・フォンセカは指摘しています。

レポートではまず、ウェルスマネジメント業界や投資運用のビジネスモデルに影響を及ぼす最も顕著なトレンドを取り上げています。次に、今後のウェルスマネジメントおよび投資運用の見通しについて、①市場の状況②顧客③デリバリー④テクノロジーの4つの分野ごとに予測しています。最後に、今後の課題に対する一般的なアプローチを評価し、それらが実現可能な戦略であるかどうかを分析した上で、アドバイザーや金融機関が様々な困難を乗り越えるための提言を示しています。