2012年 北米年金保険市場の動向とテクノロジー上の課題
Market Trends and Technology Considerations
Abstract
北米では、生命保険会社の保険料収入のうち年金関連の収入が最も大きな割合を占めています。現在の市況は厳しいため、保険会社はコストやリスクを監視する一方、革新的な新商品の開発を目指しています。
米国の年金市場では消費者が定額年金を敬遠し、保険会社は保証付き変額年金から撤退するなど景気低迷の影響が出ています。ここにきてインデックス年金の人気が広がっているため、2012年の年金保険売上高は拡大傾向にあります。インデックス年金は株式指数に連動する比較的複雑な商品で、最低限の運用率が保証されています。こうした最新のインデックス型商品や過去数年間に投入されたその他の新商品が牽引役となって、年金保険全体の売上高は年率4%のペースで拡大し、2014年には3,680億ドル(約29兆円)に達すると予想されます。
セレントの最新レポート「2012年 北米年金保険市場の動向とテクノロジー上の課題」は過去の市況の概要を明らかにするとともに、2014年にかけての年金保険市場の動向を予測しています。金融危機や最近導入された規制の影響、また、規制準拠をサポートするテクノロジーソリューションを紹介しています。
保険会社が年金保険事業の拡大の是非を判断する際に考慮すべき点として、金融危機と長引く低金利による影響、規制の強化、年金保険売上高に占める伝統的な保険販売チャネルの割合の低下という現実が挙げられます。保険会社が同事業の継続を選択する場合、これらに関連するテクノロジー上の課題に直面することになります。すなわち、CIOに課せられた課題は、①柔軟性に欠けるレガシーシステムで革新的な商品に対応する②リスクを抑える③競合する他のウェルスマネジメント・プロバイダーに対抗できる魅力的なエージェント向けツールや保険契約者向けサービスを提供する④ストレート・スルー・プロセッシングに移行する⑤査定などのデータ集中処理の課題を克服する―など山積しています。
「年金保険市場の特徴として、商品革新、オペレーショナル・リスクおよびコスト懸念の加速、予測不能な株価動向、市場プレーヤーのめまぐるしい変化が挙げられます。運用率が不安定でリスク関連の規制強化が進む環境下で、保険会社は年金保険商品をそのような環境に適合したものにしなければなりません。この市場での業務運営は容易ではなく、最近では撤退に追い込まれる保険会社も増えています」とセレント保険グループのアナリストでレポートを執筆したカレン・モンクスは述べています。
レポートでは北米年金保険市場の現状を明らかにし、今後の売上高と保険会社によるIT投資動向を予測しています。
本レポートは26p、4表と10図から構成されています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2012年8月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。