SEPAへの移行:最悪の中でも最善の努力
Abstract
銀行は10年以上にわたって単一ユーロ決済圏(SEPA)への対応を進めてきましたが、ようやくゴールが見えてきました。しかし、企業の多くは施行までに対応が間に合わないと思われます。SEPAへの移行は現時点で決済件数全体の40%しか完了しておらず、施行時でも94%にとどまる見通しです。
SEPAに関するプロジェクトを進めてきたのは主に銀行であり、企業はほとんど関与してきませんでした。欧州では2014年2月1日までに、ほぼ全ての企業にSEPAへの準拠が義務づけられます。にもかかわらず、複数の報告によるとSEPAについて全く聞いたこともないとする企業が多い中、移行を完了させている企業など言わずもがなです。銀行にとって、これは大問題です。
セレントの最新レポート「SEPAへの移行:最悪の中でも最善の努力」は、他の業界の過去の移行の歴史に基づき、SEPAに対する企業の準備状況を推測しています。企業に、対策を講じるための時間はもはや残っていません。現時点でSEPAに準拠するための選択肢は、①準拠するための最速の方法は何か②起こり得るマイナスの結果をいかに限定するか―の2つになっています。SEPAの活用はまずは二の次にならざるを得ないでしょう。企業の多くはSEPAに準拠できていると考えていますが、それが本当にそうかどうかは時間が経てば自ずと明らかになるでしょう。
「SEPAへの移行は決して簡単な作業ではありません。銀行にとっては、この先半年間が勝負になります。移行作業は誰にとっても未知の領域であり、銀行は企業にSEPAへの準拠を強制することはできないものの、事実上、企業への働きかけを担っているのは銀行です」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したガレス・ロッジ は述べています。
レポートでは、移行日までに対応が間に合うとみられる企業の割合を予測しています。企業側はSEPAを銀行のプロジェクトと認識していますが、これに準拠していなければ銀行と企業の双方に罰金が科される可能性があります。レポートでは他の業界における移行の例2つを取り上げ、そこから得られる教訓、銀行ができることは何かを指摘しています。