コミュニティバンク絶滅の危機: そして誰もいなくなった
Abstract
コミュニティバンクも、最新のバンキングサービスを求められています。銀行業務はもはや単純なビジネスではありません。コミュニティバンクは、規模が小さく、業務の複雑化や最新サービスへの対応に悲鳴をあげています。この10年間、インターネットバンキング、ビルペイメント、モバイルバンキング、顧客の本人確認(KYC)、米財務省外国資産管理局(OFAC)の規制への対応、顧客・企業向けのリモート・デポジット・キャプチャー、ブランチ・キャプチャー、その他様々な機能やサービスへの対応等、様々な変化への対応を求められてきました。
しかし、コミュニティバンクの大半は、全てのニーズを満たすだけのリソースを持ち合わせていません。既存業務の運営にかかる費用を賄うのが精一杯で、 預金獲得に必要不可欠な最新の顧客向けアプリケーションやサービスを開発する資金的余裕がないのです。この様な状況下、中小銀行の数は減少の一途をたどっています。
本レポートでは、米国銀行業界の再編に影響を及ぼすトレンドについて検証しています。まず、銀行を預かり資産規模別に分けて各セグメントのトレンドを明らかにし、預金残高の伸び、効率性比率を分析しています。そして最後に、業界に対するセレントの見解と銀行の将来に向けた提言をまとめています。
米国では、この20年間で商業銀行の寡占化が進んでおり、預かり資産残高が100億ドルを超える銀行の預金シェアが劇的な伸びを記録しました。今では、上位5行が国内預金残高の約40%を占めています。
米国の商業銀行の数は、1992年末の11,462から2014年現在は5,809へと急速に減少しています。セレントは、2019年にはこの数が4,942にまで落ち込み、年平均成長率(CAGR)はマイナス3.1%に下落すると予測しています。この淘汰・再編の動きは、主に預かり資産が1億ドル未満の小規模商業銀行で起こっています。
「中小銀行もデジタルバンキングという新しい時代で生き残るためには、顧客ニーズにマッチしたサービスを提供する必要があります。今や、モバイル機器をバンキングから切り離しては考えられない時代になりつつあります。料金支払や送金、決済取引等で最先端のデジタルバンキングサービスを受けられる銀行に預金しながら、ローンについてはコミュニティバンクで組むといった使い分けもできるのです」と、セレント・バンキンググループのアナリストで本レポートを執筆したスティーブン・グリーアは述べています。