インドにおける損害保険のマイクロインシュアランス:複雑さにどう対応するか
Serving a Complex Market
Abstract
インドでは、貧困層に保険商品を提供する手段としてマイクロインシュアランスが普及し始めています。しかし、生命保険の場合とは異なり、インドは損害保険を販売しにくい市場でした。
セレントの最新レポート「インドにおける損害保険のマイクロインシュアランス:複雑さにどう対応するか」は、同市場におけるマイクロインシュアランスの普及状況を分析しています。損害保険市場は、生命保険市場に比べて複雑です。その理由はいくつかありますが、1つは生命保険分野の方がエージェントや販売チャネルがより充実していることにあります。また、損害保険市場でマイクロインシュアランスへのシフトがなかなか進まないことも挙げられます。保険料の設定や保険金請求の難しさも、克服すべき障害となっています。
損害保険会社(専門保険会社であるECGCとAIC、独立系の生命保険会社1社を除く)が2010年に引受けた保険契約の総保険料は80億ドル(約6566億円)となり、2009年の62億ドル(約5089億円)から28.5%増加しました(09年は前年比11%減)。 一方、上記3つの生命保険会社による2010年の総保険料は239億ドル(約2兆円)と、2009年の106億ドル(約8700億円)の2倍以上に増加しています。
「インドでは、損害保険市場の拡大ペースが生命保険市場を下回っている背景には、複数の要因があります。しかし、損害保険市場には十分な成長余地があり、民間の保険会社が参入意欲を見せていることは明るい兆しといえるでしょう」と、セレントのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
インドのマイクロインシュアランスの特徴は、消費者の個別ニーズに対応した多様な損害保険商品が開発されている点にあります。こうした商品は、世界の他の市場でマイクロインシュアランスを提供している保険会社にとっても参考になるでしょう。本レポートではこれらの商品の一部を紹介するほか、インドの実例から学ぶべき貴重な教訓を示しています。
グラフ: インドにおける損害保険料の推移
縦:総保険料(10億ドル)