世界の金融業界のIT投資動向
Abstract
セレントは、世界の金融機関による2009年のIT投資が前年比1.3%減の3,533億米ドル(約32兆円)になると予測しています。伸び率は2008年の前年比4.5%増を大幅に下回る見通しです。今後2年間は厳しい環境が続くとみられますが、IT製品やサービスに対する投資額は2010年には世界全体で3,645億ドル(約33兆円)(2008〜2010年の平均伸び率は年率0.9%)に拡大する見通しです。
セレントの最新レポート「世界の金融業界のIT投資動向」は、金融業界のITトレンドを分野別(銀行、保険、証券)および地域別(北米、欧州、アジア太平洋、中南米、アフリカ)に分析しています。レポートでは、IT投資の動向を金融機関ごとに比較しています。
欧州と北米の金融機関はIT投資額がほぼ同水準で、世界の金融業界のIT投資全体に占める割合はそれぞれ37.7%、33.5%となっています。また、アジア太平洋が23.3%、中南米とアフリカが残りの5.6%を占めています。
地域別で投資額が最も急速に拡大しているのはアジア太平洋で、2008年のIT投資額の伸び率は8.9%に達し、2008〜2010年の平均伸び率は4.1%が見込まれています。同地域では今後も投資の拡大が続き、2010年の投資額は903億米ドル(約8兆円)に達する見通しです。中南米とアフリカは伸び率が3.1%と比較的緩やかで、2010年投資額は212億米ドル(約1兆9,000億円)となるでしょう。
出典:セレント
「全ての地域で経済成長が減速し、投資額の減少を招いています。特に欧州と米国の金融機関は大きな打撃を受けており、これら地域の金融機関が難局に直面していることが投資額の減少を招いています。金融危機の影響と景気の不透明感から、金融機関はコスト抑制に努めています。世界中の銀行が厳しい事業環境にさらされています」と述べるのはセレント銀行プラクティスのシニアアナリストでレポートの共同執筆者でもあるジェイコブ・イエーガーです。
本レポートは35図と21表を含む全70ページで構成されています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2008年12月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。