ウェルスマネジメントにおけるソーシャルメディア:顧客エクスペリエンス向上に果たす役割
The Evolving Role of Social Tools for Superior Customer Experience
Abstract
ウェルスマネジメント会社の間では、ソーシャルメディアの活用はまだはじまったばかりですが、それが顧客との交流チャネルとして有効であるとの認識は広まってきました。顧客とのコミュニケーションツールへの投資が最優先課題に挙げられており、金融サービス会社にとってソーシャルメディアはもはや無視できないチャネルとなっています。こうした背景の中、ソーシャルメディア関連のテクノロジーの中から適切なものを選び出すことは重要です。
2008年の金融危機とそれに続く景気後退の影響で、ウェルスマネジメント会社や金融サービス企業に対する投資家の認識が変化し、信用レベルが低下してしまいました。よって金融機関は、より大胆かつ積極的に顧客との交流を進める必要に迫られており、ソーシャルメディアが新時代の鍵を握るメディアチャネルの1つとなっています。
セレントの最新レポート「ウェルスマネジメントにおけるソーシャルメディア:顧客エクスペリエンス向上に果たす役割」では、金融サービス分野における各種ソーシャルメディアの導入状況について、主要な課題や障害、コンプライアンス関連の懸念、規制による制限などに焦点を当てながら考察しています。顧客リーチのために各社はいかにソーシャルメディアを活用しているのか。マーケティングやサポート、ロイヤリティ獲得に向けた、リテールブローカーやウェルスマネジャー、ファイナンシャルプランナーなどの動きを探りました。また、規制要件や内部のモニタリングおよびコンプライアンス方針を遵守しながらソーシャルメディア戦略を効率的に実施していくには、市場で入手可能なテクノロジー製品のうちどれを選択すればいいのか分析しました。
「ソーシャルメディアを活用することにより、顧客とのコミュニケーションや接点が増し、関係をより堅固なものにすることができます。ソーシャルツールは、影響を予想、評価するための新たな手段にもなります。一方で、いまだにソーシャルメディア戦略策定の第一歩を踏み出していないウェルスマネジメント会社は、優位を失う危険に見舞われるでしょう。今や、どんなに信頼に値する優れたアドバイスも、あまたある同業者サイトのコンテンツの中に埋没してしまうかもしれないのです」と、セレントのリサーチディレクターでレポートの共同執筆者であるイザベラ・フォンセカは述べています。
「ソーシャルメディアテクノロジーは多くの場合、企業のマーケティング部門の主導により購入されています。これに対してコンプライアンス部門は、規制遵守の徹底に努めています。現在、主流となっているはウェルスマネジメント会社やリテール向け証券会社を対象としながら、コンプライアンス問題を重視し、記録保管や監査の実現をは かっている総合ソリューションです。しかしこれからは、ソーシャルメディアに焦点を絞ったウェルスマネジメント会社向けの専門ソリューションが出現してく るでしょう」と、セレントのアナリストでレポートの共同執筆者であるスリークリシュナ・サンカーは述べています。
このレポートでは、2013年までにはソーシャルメディアが全面的に受け入れられ、有効なソーシャルメディア分析手法やROI(投資収益率)算出法が出現してくると予測しています。