2014年 アジア・モデルインシュアラー:保険会社のテクノロジー有効利用に関するケーススタディ
Abstract
今年で4回目となるアジア太平洋地域のモデルインシュアラーに関するレポートでは、18の「モデルインシュアラー・コンポーネント」を紹介しています。
アジアの保険会社は地域特有のビジネス課題に直面しており、保険会社向けテクノロジーも独自の経緯で進化してきました。セレントの最新レポート「2014年 アジア・モデルインシュアラー:保険会社のテクノロジー有効利用に関するケーススタディ」では、18の保険会社のテクノロジープロジェクトを「モデルインシュアラー・コンポーネント」として選出しました。テクノロジー有効活用のベストプラクティスを示すこれらの事例は、商品および保険契約者のライフサイクルにおける重要分野、具体的には、保険契約管理、商品設計/定義、販売/エージェント向けポータル、販売/その他のチャネル、保険金請求、サービス、リスク管理、ビジネスプロセス管理、IT管理、デジタルなど幅広い分野をカバーしています。
またレポートでは、ITのベストプラクティスや、モデルインシュアラー・コンポーネントの選定基準になった業務実績についても検証しています。
セレントは、「モデルインシュアラー」が採用すると思われる、保険の様々な分野におけるテクノロジー利用のベストプラクティスを紹介しています。それらは、商品および保険契約者のライフサイクルの構成要素である場合も、IT管理といった一般的な分野である場合もあります。本レポートでは、今回のモデルインシュアラーへの多数の応募案件の中から「モデルインシュアラー・コンポーネント」に選ばれた個別のプロジェクトや機能に関するケーススタディを紹介しています。
2014年のアジア・モデルインシュアラー・コンポーネントは以下の通りです。
- Ageas Insurance Company (Asia) Limited:iPad向けアプリ「Financial Need Analysis」を開発し、エージェントの生産性を向上させ、顧客のニーズに基づく販売手法に移行。
- Apollo Munich Health Insurance:データウェアハウスとビジネスインテリジェンス・ソリューションを開発することで、系統立てた明確なデータの提供と迅速かつ動的なレポート作成ツールを実現し、ビジネスユーザーが豊富な情報に基づく意志決定をできるようにした。
- AXA Asia:域内のコアシステムと周辺システムを統合し、自社の急速な成長意欲をサポートするとともに、統一されたフロントエンドシステムとプロセスエンジンの導入に向けた基盤を構築。
- Birla Sun Life Insurance:顧客サービスに関するリクエストをデジタルチャネルに移行させることを目指し、デジタルフレームワークを設定した上で複数の重要なデジタルプロジェクトを立ち上げた。
- Birla Sun Life Insurance:自動テストツールを導入し、テスト案件の執行時間の短縮とテストの正確性向上につなげた。
- BOC Group Life Assurance:生命保険の商品エンジンを導入し、商品化スピードを向上させるとともに、商品設計・開発・展開手続きを標準化。
- Cathay Century Insurance:自動車事故を起こしたドライバーをサポートするモバイルアプリを開発し、顧客満足度と企業イメージの向上を目指した。
- DHFL Pramerica Life Insurance Company Ltd. (DPLI):エージェント向けプラットフォーム「National e-Governance Plan」と統合し、コスト効率よく農村地域における顧客獲得とサービス提供を実現。
- L&T General Insurance Company Ltd.:自動車ディーラーが拠点内でいつでも保険証書をすぐに作成できるよう、ハイブリッド型のポイント・オブ・セールス・システムを開発。
- Max Bupa Health Insurance Company Limited:ビジネスプロセスの自動化ソリューションを導入し、効率性を向上。
- Max Life Insurance Co. Ltd.:デジタル対応の販売サポート/管理システムを導入することでアドバイザーの関与を高め、生産性を向上。
- MeLife Alico Life Insurance K.K.:保険数理および資産・負債管理もモデルシステムを統合することで整合性、スピードおよび生産性を向上。
- MetLife Global Technology & Operations Asia:オペレーティングシステムの種類にかかわらず、総合的な保険サービス機能を顧客にリアルタイムで提供できるモバイルアプリを導入。
- RAA:ユーザビリティ、効率性、生産性に優れた新システムへの移行。
- Royal Sundaram Alliance Insurance Company Ltd.:インテリジェント・クレーム管理システムを導入し、自動車の自損事故に伴う保険金請求に対応できるようにしたほか、担当スタッフの効率性と顧客満足度を向上。
- 東京海上日動火災保険:システム対応の医療保険商品を開発し、医療保険分野における新たなビジネスチャンスを開拓。
- Union Assurance PLC:ラップトップ/タブレットに対応可能なエージェント向け見積もり/提案ツールを導入し、生産性の向上とシステム販売手続きへの移行を実現。
- Yingda Taihe Property Insurance Co., Ltd.:自動車保険用の損害調査システムを導入し、保険金請求手続きの最適化とリスク管理の強化を実現。
また、今年の「モデルインシュアラー・アジア」は以下のように決定しました。
- Max Bupa Health Insurance Company Limited:ビジネスプロセスの自動化ソリューションの導入により、効率性を向上。
「セレントがグローバルに展開しているプログラム『モデルインシュアラー』をアジアのテクノロジープロジェクトにも適用するようになって、今年で4年目になります。今回も幅広い案件の応募があり、モデルインシュアラーに選出されたプロジェクトはこの地域の保険会社向けテクノロジーの最先端を代表する事例であると確信しています」と、アジア地域のシニアバイスプレジデントを務めるニール・カタコフは述べています。
「テクノロジーを有効活用することは、テクノロジーそのものを追求することより重要です。これは、モデルインシュアラー・コンポーネントに選出されたプロジェクトに共通したテーマであり、これらを手がけた保険会社の決断を高く評価いたします」と、アジア金融サービスグループのシニアアナリストでレポートを執筆したウェンリ・ユアン は述べています。
セレントでは2013年4月にモデルインシュアラー・コンポーネントの募集を開始し、保険チームが提出されたビジネス成果に基づいて18のプロジェクトを選出しました。レポートでは各コンポーネントのビジネスドライバー、テクノロジー環境、定量的な成功指標について説明しています。