ブラジルの資本市場におけるテクノロジードライバーと最新動向
Abstract
成長が続く中南米地域において、ブラジルは最も規模が大きく最も発展した資本市場であり、いまや経済大国としてみなされ、それに合わせて同金融市場のインフラも急速に発展・進歩しています。
外資系金融機関の市場参入やリスク管理要件の厳格化の流れを受けて、ブラジルの資本市場では域内及びグローバルな取引の両方に対応可能なプラットフォームの需要が高まっており、外資系ベンダーにとって様々なビジネスチャンスが生まれています。
グローバルな金融機関やベンダーは、同市場を「魅力的ではあるが同時に複雑でどこから手をつけてよいか見当がつかない困難な市場」と捉えています。ブラジルでは、外資系企業が成功するにはまず現地での存在感を高めることが重要で、この点では中国やインドと似ており、他の中南米市場とは異なっています。
市場全体でのIT投資額は2013年の20億米ドルが2017年には26億米ドルに達し、年平均伸び率(CAGR)は6.7%になる見通しです。主な成長要因としては、レガシーシステムの現代化、クロスアセット取引に対応したプラットフォームの普及、米国市場とのさらなる統合、柔軟性の向上、ビッグデータ解析等が挙げられます。
「ブラジルは中南米地域で最も複雑な市場です。この市場で成功するには現地で強力に導入をサポートできる態勢を整え、、尚且つ市場特有の要件を満たした製品を投入することが重要です」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
このレポートは「中南米の資本市場におけるビジネスチャンスの考察」シリーズの第2弾です。第1弾ではブラジル、メキシコ、コロンビア、チリを取り上げ、市場指標や社会経済指標、現地の証券会社及び資産運用会社の規模分布等のパラメーターをもとに各市場を比較しました。本レポートでは、ブラジルの資本市場を取り上げ、セルサイド/バイサイドの主要プレーヤーの概要、市場のトレンドや特徴、成長要因や予想されるIT投資額を掲載しています。本シリーズの第3弾ではメキシコの資本市場を取り上げます。