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欧州市場インフラ規制(EMIR)とOTCデリバティブの清算集中:容易ではない道のり

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2011/10/18

Tough Times Ahead

Abstract


欧州市場インフラ規制(EMIR)の導入により、欧州ではOTCデリバティブ取引に伴うシステミック・リスクという難問の解決が期待されており、その進展は世界市場にも確実に影響を及ぼすでしょう。報告義務の強化や清算機関の利用義務づけによって透明性が高まり、規制当局によるシステミック・リスクの監視がしやすくなります。

セレントの最新レポート「欧州市場インフラ規制(EMIR)と店頭デリバティブの清算集中:容易ではない道のり」はEMIRの枠組みを解説し、市場参加者に及ぼす影響について分析しています。EMIRは2013年1月までの施行を目指しており、2011年第4四半期中に欧州議会で採決される運びとなっています。規制の方向性は施行後も柔軟に検討され、対象となるデリバティブ取引の定義や金融機関以外の利用者への適用基準など課題に応じて内容を修正していく計画です。

EUの市場参加者は各種のデリバティブ市場で高いシェアを占めており、株式や外国為替のOTCデリバティブでは世界シェアが50%を超えています。金利スワップ市場では清算機関を利用した取引が既に全体の68%を占めているため、欧州でEMIRの施行による最大の影響を受けるのはクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と外国為替市場でしょう。

出典:セレント

「EMIRは幅広く影響を及ぼすとみられます。また、市場参加者の間では2012年に多額のIT投資を行う動きが出てくるでしょう」と、シニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。

レポートでは、世界および欧州のOTCデリバティブ市場の現在の規模と特徴をまとめています。また、EMIRの主な枠組みと施行スケジュール、新規制が様々な市場参加者に及ぼす影響や、集中清算機関だけでなく、デリバティブのエンドユーザーの実行可能性をも左右しかねない課題について分析しています。EMIRは現物市場の集中決済機関との相互運用性についても定めていますが、本レポートではデリバティブ関連の規定のみに焦点を当てています。