データ・タリフ 2.0: 多極化する世界での分散型帳簿テクノロジー
2016/12/15
Abstract
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 「データ・タリフ2.0」とは何か? |
2 |
中央銀行による通貨の発行は、どのような影響を持つか? |
3 | 分散型帳簿テクノロジーのユースケースにはどのような意味があるか? |
2025年までには、世界経済の価値の半分以上はデジタルによって生み出されると予測されています。デジタル経済は基本的に国境に異議を唱えるものであり、分散型帳簿テクノロジー(DLT )のような新たなテクノロジーがコンセプトから現実へと移行する過程で、デジタル取引をめぐる争いが広がる可能性があります。
データ・ローカライゼーション規則を設定する動きは、かなり前から広がっています。規制当局がDLTに関しては国境を越えた自由なデータの移動を認めるのではないかとの前提には、疑問が投げかけられています。実際のところ、これを機にデータ・タリフは新たな段階に踏み出すことも考えられます。中国のような主要国では、中央銀行の発行するデジタル通貨がデータ・ローカライゼーション、国際決済、資本流失に影響を及ぼしています。これらの問題は金融、政治、地政学上重要な意味を持っています。
「DLTのユースケースの商用化をめぐる競争は始まっており、規制動向は喫緊の課題となっています。DLTがコンセプトからテスト段階に移行するのに伴い、各規制当局の見解の違いを理解することは、生まれつつあるグローバルな規制の枠組みを把握する上で重要なヒントになるでしょう。」
「世界各国の政府と中央銀行は自らをデジタル法定通貨の発行体と位置付けており、あらゆるグローバル決済システムの重要データとアクセスに関する絶対的な支配権を主張するでしょう。規制およびアーキテクチャの面では、DLTにどのような影響が及ぶのかはなお不透明ですが、影響はかなり大きなものになるでしょう」と証券プラクティスのシニア・アナリストであるジョン・ドゥワイヤーは述べています。