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2011年 ヘッジファンド:嵐の中の航海

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2011/03/22

Abstract

北米のヘッジファンドによるIT投資は、2009年から2014年にかけて年率4.4%のペース(2億3,100万ドル)で増加するとみられます。一方、アジアでは伸び率が最速の7.2%(3,600万ドル)に達する見通しです。

ヘッジファンドは最も厳しい時期を乗り切ったとはいえ、新たな不透明感と緊迫感に直面しています。資本不足、店頭取引市場の構造変化、中央清算機関の導入プロジェクト、プライムブローカーとヘッジファンドの取引関係における経済構造の変化(新バーゼル規制に伴う)といった逆風が影を落としています。同時に、投資家機関化の動きが続いているため、ヘッジファンドにとってはリターンの実現が難しいだけでなく、業務インフラや管理の強みも示せなくなっています。

セレントの最新レポート「2011年 ヘッジファンド:嵐の中の航海」は金融危機後の資本市場の再編とそれがヘッジファンド業界に及ぼす影響、さらにはヘッジファンのIT投資やテクノロジーの優先順位に及ぼす影響についてまとめています。

「現在、浄化作用による効果がみられます。金融危機を受けて業界は縮小しましたが、その反動で再び堅調な成長軌道に戻っています。今後ヘッジファンドは、集約化した機能を備える必要があるでしょう。機関投資家のシェア拡大を積極的に目指すファンドがスケールメリットを実現するためには、一貫したサービス構造を確立することが不可欠でしょう」とセレントのリサーチディレクターでレポートの共同執筆者であるキュビラス・ディン は述べています。


出典:セレント

多くのヘッジファンドにとって、店頭デリバティブの集中決済への道のりは依然不透明であり、将来の市場へのアクセス手段を明確に描けずにいます。本来なら、ヘッジファンドが中央清算機関(CCP)に直接アクセスできるかたちが望ましいでしょう。しかし、多くのファンドは、CCPの会員として認められるのか、あるいは厳しい資本規制が適用されるのかといった点で懐疑的になっています。ファンドの間では、中央清算が実現するにはなお数年かかるというのが大方の意見です。

「ヘッジファンドは、この分野に進出しているサービスプロバイダーやディーラーのために、クレジットデフォルトスワップ(CDF)や金利スワップなど幅広い資産クラスを決済の対象とすること、さらに取引が行われる複数の地域で決済を可能にすることを強調しています。また、クロス・マージ二ングを採用することで市場のレバレッジが回復し、ファンドの資本効率が上昇することから、特に先進的なヘッジファンドに付加価値をもたらすとみられています」とセレントのアナリストで共同執筆者のアレクサンドラ・リンは述べています。

世界経済が緩やかに回復し、一部では取引・リスク管理関連の投資も実施されていますが、IT投資は抑制される見通しです。2011および2012年のIT投資に関する全般的な戦略は、既存のアプリケーションの効率化と保守管理コストおよび新システム投資の縮小が中心になるでしょう。

このレポートは22図を含む52ページで構成されています。